人事
賃金・賞与・退職金人を活かす
人材評価制度
人事
人事制度構築/運用・人事評価
■楠田 丘・著 |
目次
第Ⅰ章 これからの人材評価
-人材の育成と活用に役立つ 総合的多面的絶対考課を目指して
1 「育成と活用」を主眼に置く 12
2 加点主義絶対考課を目指す 15
1 絶対考課とは 15
2 加点主義人事政策への転換 17
3 能力主義のトータル・システム化 21
4 絶対考課への道 22
1 能力主義人事の組立て 22
2 絶対考課の要件 26
3 問われる上司の姿勢 27
5 鍵を握る面接制度 28
1 面接制度とは 28
2 その進め方 29
3 育成面接のポイント 33
6 人材評価制度修正の方向 37
1 従来の人事考課 37
2 新しい時代環境 38
3 能力主義と人事考課 39
7 加点主義人事への転換 43
1 チャレンジ目標の設定 43
2 自己評価 44
3 キャリア開発と評価 45
4 育成面接 46
8 人材評価制度の組み立て 47
第Ⅱ章 人事考課の組立て
1 人事考課の基本の理解 50
1 成績と業績 50
2 営業部門や管理職の人事考課 52
3 成績と業績と「能力考課」 53
4 考課基準の確認が大切 53
5 中間項(業績と能力の間に介在するもの) 56
6 能力や適性の把握 58
7 人事考課の位置づけ 60
2 人事考課の組立て 64
1 成績考課と能力考課 64
2 業績考課も必要 66
3 情意考課の位置づけ 68
4 人事考課とアセスメント 70
試験制度と人事考課の違い/72 適性観察制度/72 人材アセスメント/72 長所主義と評価システムの多面化/74
3 考え方のポイント 75
1 賃金に差をつけるだけが目的ではない 75
2 観察と分析こそが人事考課 77
3 考課基準の確認こそがすべて 78
4 非公開では維持できない 82
5 自己評価をかみ合わせる 83
6 チャレンジ制度 83
7 考課者訓練の徹底実施 84
8 事後調整はできるだけ避ける 88
9 ルールの設定には労使で協議を 89
10 思いつきのバラバラな人事制度では効果があがらない 90
11 フィードバックと教育訓練への徹底活用 91
12 自社人事考課のチェックポイント 93
第Ⅲ章 考課基準の設定
1 考課基準としての 「等級基準 (職能要件)」 _hと 「/職務基準」 96
2 職務調査の必要性 99
3 職務調査の具体的進め方 108
作業①職種別課業の洗い出し(職種別課業一覧表または部門別課業一覧表) 108
作業②職種別職能要件書の作成 114
作業③個人別課業分担表の作成 116
作業④対応課業 (職能資格等級ごとの課業一覧表) の設定 122
作業⑤職種別等級別の職能要件書の設定(等級基準=職能マニュアル) 127
作業⑥課業マニュアル 129
(参考)職務記述書および職能要件書の作成 129
4 考課段階 134
第Ⅳ章 人事考課制度の設計と運用
1 人事考課表の作り方と運用 138
1 職能開発カードと成績考課表 138
職能開発カード/140 成績考課表/142
2 能力考課表 148
2 設計上の留意点(その1)――能力の内容と考え方 153
3 設計上の留意点(その2)――考課要素と層別区分 162
1 「成績」を通して「能力」を把握・評価する 162
2 層別区分 166
3 実施時期 170
4 作成すべき様式書の種類 171
4 (参考)さまざまな考課方式 172
1 人事考課の各種の方式 174
第1グループ…長所と短所の記録法、定期的記録法、勤怠記録法/174
第2グループ…業績報告法/176
第3グループ…指導記録法/176
第4グループ…減点法、執務基準法/177
第5グループ…成績評語法、人物評語法/179
第6グループ…プロブスト法、強制択一法/180
第7グループ…図式尺度法、段階択一法、評語考課法/181
第8グループ…相対比較法、人物比較法/182
第9グループ…分布制限法/183
第10グループ…成績順位法/183
第11グループ…オーバーオール・レイティング法/183
2 考課表と職能開発カード 184
フィードバックと人事情報システム/185 その設計と運用/186
5 運用上の要件 189
6 配転と人事考課 192
第Ⅴ章 人事考課の活用
1 事態改善へのフィードバック 198
1 よりよき明日を求めて 198
2 分析シートの活用 200
3 異動と人事考課 201
不利益を与えない/201 異動7ヵ条/202
2 賞与・昇給・昇格への結びつけ 205
1 公平処遇への反映 205
2 計量化と総合 209
計量化/209 総合のためのウエイトづけ/210
3 相対区分と絶対区分 220
第Ⅵ章 アセスメント並びにコンピテンシー評価の設計と活用
1 アセスメントの設計と活用 224
1 アセスメントの設計 224
2 アセスメントの活用 227
2 コンピテンシー評価の設計と職責決定への活用 229
1 コンピテンシー評価の設計 229
2 コンピテンシー評価の進め方 242
3 コンピテンシー評価の活用(実力等級)の設定 243
3 実力による成果主義の導入 244
4 能力と実力のダブルラダー 245
5 実力等級のフレーム 247
6 役割評価の実際 249
7 人材評価と処遇 252
第Ⅶ章 考課者訓練の進め方
1 考課者訓練のアウトライン 254
1 考課者訓練の内容 254
2 毎年1回、定期的に行う 256
2 手順と内容 260
1 講義――基本的事項の説明 260
2 模擬考課演習(各人考課) 261
3 人事考課のポイントについての説明――個人別意見発表と問題点の集約 271
4 グループ別考課 281
5 感想文提出 290
図表索引 292
はじめに
いわば画一的な年功による人事を改めて、各人をみつめた、かつ能力をべースとした人事を新たに展開していくことが必要であるわけだが、この際、まずすぐ問題となるのは、人材評価であろう。能力の絶対的な高さや特性をとらえるのみでなく、相対的に業績とか執務態度の評価のみを追い求めてきた従来の人事考課では、そのような新しい人事の展開には通用しないからである。
それに第一、従来の人事考課はあまりにも不信感に満ちあふれたものでもあり、不信感を取り除かない限り、今後もそれを継続していくわけにはいかないといった面もある。従業員の相対関係のみをとらえ、一方的にしかも非公開で行われる人事考課では、新しい処遇基準の中枢に反映させるわけにはいかないし、能力の開発や活用に役立たせることもできるはずがない。
そこで、この際、従来とは違った新しい考え方に立って新しい人事考課を編成し、出発させていくことが大切だと思う。それは、3つの要件からなると思う。
(1) 考課基準を明確にし、絶対考課としていくこと
(2) 考課結果を、部下にフィードバックし事態の改善、つまり目標設定や職務改善や教育訓練に結びつけていくこと
(3) 納得のいく、かつ公開されたルールで、整然と、昇格、昇進、昇給、賞与などに反映させること
本書は上のような観点に立って、これからの人事考課のあり方として、とくに考課基準の明確化と考課制度の設計、考課者訓練の徹底および各人へのフィードバックのあり方等に重点を置いて、これからの人事考課を解説することとした。
あくまでも従来の人事考課の欠点を修正し、納得のいく公平性の強い人事考課を実現し、仕事の与え方や能力の引上げに、より有効な人事考課をつくり上げることにねらいを置くこととした。
新しい人事考課は、従来は経営側で一方的に行われてきたが、これからは労働組合も人事考課のルールについては積極的に発言し、意見を述べていくべきであろうと思う。そのような意味において、本書は経営側のみならず、労働組合の方々にも読んでいただきたいと思っている。
本書が、従来のあいまいな人事考課をいくらかでも客観公平化するうえに役立つならば幸いである。
なお本書の改訂にあたって、産業労働調査所および日本賃金研究センターの皆様方にたいへんお世話になったことを厚く感謝したい。
昭和53年3月29日
『新版加筆および改題にあたって』
原版を執筆してから約15年が経過した平成5年に改訂版(加点主義人事考課に改題)を出し、さらにそれから13年が経過したいま、ここに再度加筆、改題してこの改訂課題版を執筆した。この間、雇用形態の多様化、高度化、男女平等化、個別主義化、国際化、価値観の多様化などが総合的に進む中で、わが国の人事・処遇制度は、一層、能力の開発・活用を基軸とする能力主義の強化と併せて実力主義、成果主義、そして加点主義人事の一層の整備が求められつつある。すなわち1975年以降、能力主義に転じたわが国の人事は、1990年以降さらに働きがいと組織の活性化を目ざして加点主義人事へと転換が進み併せて実力主義人事が要請されている。
これを受けて、人事考課についてもさらに一段と見直しの気運が高まり、多くの企業で何らかの形で、修正や再設計が進んでいる。それは、挑戦主義、長所主義、実力主義、育成主義、個別主義、生涯充足主義といった新しいあり方への転換をできるだけはかるという方向で、人事考課をぐっと拡げてアセスメントや実力評価を含めての人材評価への進化となっている。
このような今日的動きを踏まえて、この新版加筆にあたって、「新しい人事考課」から「加点主義人事考課」と改題し、さらに今回「人を活かす人材評価制度」と改訂することによって、より具対的に新しい人事考課のすすむべき道を示した。労使双方に少しでもお役に立ちたいと願っている。
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