管理者の役割 《新装版(第3版)》
人事
人事制度構築/運用・人事評価
■片山 寛和・著 |
はじめに
はじめに
どこの企業も優秀な管理者が足りない。企業は組織活動だから、社長一人がいくら頑張っても、管琿者の働きが悪ければ、業績は上がらない。組織の要にあって、社員の力を結集するのは管理者の役割である。企業の業績を高める鍵は、管理者が握っていると言っていい。ところが、多くの管理者は、自分の役割を十分に果たしていない。役割の自覚が足りないか、あるいは自覚はしていても、行動がそれに伴わないためであろう。現実に管理者は多様な立場にあり、日常の仕事に追われている。つい本来の任務を忘れて行動するのも無理からぬところがある。だが、それでは困るのである。
全体の経済成長が大きい時代ならば、管理が少しくらいまずくても、市場拡大という外的な要因によって、企業は業績を伸ばすことができた。そのせいか、企業も管理者の育成を手抜きしたふしがある。しかし、いま追い風は吹いていない。管理者を取り巻く環境は大きく変わった。市場の成熟、産業構造の変容、労働力の量的、質的変化の中で成果を上げるには、内部を固め、より効率的な組織運営を函らなければならない。これまで以上に、優秀な管理者が求められるところである。
この本は、管理(マネジメント)のあるべき姿を示し、管理者の基本的な役割を理解してもらうために書いた。初めて部下を持つ人は、「管理とは何か」を知る手引きとして使っていただきたい。何ごとでも大切なのは基本である。自己流で管理をしないで、まずしっかり基本を身につけ、優れた管理者を目指してほしい。
この本は、しかしながら、単なる入門書にとどまるものではない。隠し味として、筆者の管理者としての長年の経験から得た教訓をあちこちにちりばめてある。すでに数年の管理者経験のある人が読んでも、いろいろと示唆が得られるであろう。この本が、管理を体系的に理解し、管理行動の質を高めることに少しでも役立てば幸いである。
なお、藤原英雄氏にイラストをお願いしたところ、忙しい本業の合間を縫って、楽しい絵を描いて下さった。心からお礼を申し上げる。
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この本は1993年4月に出版してから、幸い、多くの会社で管理者研修のテキストとして用いられ、版を重ねることができた。このたび、経済の国際化が進む時代動向を考慮して、2回目の大幅な改訂を行ない、新装版として、発刊することになった。研修用テキストとしてのみならず、日常折にふれて読み返す本として、管理者の方々に利用されることを願っている。
2005年5月
片山寛和
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