昇格・昇進実践テキスト
人事
人事制度構築/運用・人事評価
■松田 憲二・著 |
はじめに
いま企業を取り巻く経営環境は、3つの負の遺産(設備過剰、債務過剰、人員過剰)をなんとか取り去り乗り越えようとする努力とともに、一方では、企業100年の大計に立って、5年先、10年先の将来に向かって、企業を背負って立つビジネス・リーダー、マネジメント・リーダーの育成・開発・活用を急いでいる。
ビジネス・リーダー、マネジメントリーダーと一口に言っても、経営トップを担う立場に立つ者、日常業務の確実な推進を担う者、先端をゆく技術力を駆使して企業の技術開発を担う者など、各々の目指すコースは種々多様に及ぶことは、企業それぞれの立場によって異なるとしても、全従業員が「目指すべき処遇のあり方」が各々のコースに沿って明確に示されることが、いまもっとも問われている。
この目指すべき処遇のあり方こそ、昇格・昇進の基準・ルールの公開と挑戦の仕組みであり、これの正当性によって企業のモチベーションが高まり、従業員の企業業績への貢献へとつながっていくのである。
特に、ある一定の条件を満たすことによって、期待し要求される上位資格への昇格は、ビジネス・リーダーを目指す者にとって最低のクリアー条件である。ビジネス・リーダーにとっても、必要とされる絶対条件を全従業員に公開する、その条件の内容に妥当性・納得性があるのかが確認される、挑戦しようとする意欲が湧いてくる、信頼性と運用性が見える、等のような昇格基準がシステムとして成り立つことが必要なのだ。
一方、企業の重点課題を解決し、組織運営の鍵を握るマネジメントリーダーの重責を担う職位として位置づけされる者を、早期に選別し、選抜しようとする動きが慌ただしい。将来の企業の運命の舵取り役を、職務・職位を通じて早期に役割に任じることによって、企業業績への貢献を担わせようとすることである。一握りの高度のマネジメント能力をもち、組織運営の具体的重要課題を推進し、解決できるための絶対条件が、昇進(任用)基準として、該当する候補者に明確に明示されることである。
このように、ビジネス・リーダーの条件を満たす職務と職能とスペシャリティを基準とする「昇格」と、これらの条件に人物・人格・見識などの条件を付加し、組織のマネジメントリーダーの条件を満たす「昇進」の条件を、企業の目指す方向に合わせ、分離したり併合したりして、運用していくのである。
まさに、昇格基準と昇進・任用基準の客観性ある条件づくりと明確な運用の公開制こそが、企業勝ち残りのための従業員の挑戦意欲の喚起と少数精鋭・重課主義のもとに、一握りのコアとなる人材の選別・選抜を促す企業の必然性とが、一致することになる。
本書は、このような考えと方向を具現性をもってシステム化するための基本的な考え方と基準づくりに当たってのポイントを提示、あわせて、運用している各企業の制度マニュアル、基準・運用規程を、各企業の協力のもと公開することによって、昇格・昇進システムの改善、改革を目指す各企業の参考に供するものである。
なお、本書は、2002年11月に産労総合研究所より発行した「昇格・昇進の設計とモデル規程集」に加筆・修正を行い、再編集し提供するものである。
ビジネス・リーダー、マネジメントリーダーと一口に言っても、経営トップを担う立場に立つ者、日常業務の確実な推進を担う者、先端をゆく技術力を駆使して企業の技術開発を担う者など、各々の目指すコースは種々多様に及ぶことは、企業それぞれの立場によって異なるとしても、全従業員が「目指すべき処遇のあり方」が各々のコースに沿って明確に示されることが、いまもっとも問われている。
この目指すべき処遇のあり方こそ、昇格・昇進の基準・ルールの公開と挑戦の仕組みであり、これの正当性によって企業のモチベーションが高まり、従業員の企業業績への貢献へとつながっていくのである。
特に、ある一定の条件を満たすことによって、期待し要求される上位資格への昇格は、ビジネス・リーダーを目指す者にとって最低のクリアー条件である。ビジネス・リーダーにとっても、必要とされる絶対条件を全従業員に公開する、その条件の内容に妥当性・納得性があるのかが確認される、挑戦しようとする意欲が湧いてくる、信頼性と運用性が見える、等のような昇格基準がシステムとして成り立つことが必要なのだ。
一方、企業の重点課題を解決し、組織運営の鍵を握るマネジメントリーダーの重責を担う職位として位置づけされる者を、早期に選別し、選抜しようとする動きが慌ただしい。将来の企業の運命の舵取り役を、職務・職位を通じて早期に役割に任じることによって、企業業績への貢献を担わせようとすることである。一握りの高度のマネジメント能力をもち、組織運営の具体的重要課題を推進し、解決できるための絶対条件が、昇進(任用)基準として、該当する候補者に明確に明示されることである。
このように、ビジネス・リーダーの条件を満たす職務と職能とスペシャリティを基準とする「昇格」と、これらの条件に人物・人格・見識などの条件を付加し、組織のマネジメントリーダーの条件を満たす「昇進」の条件を、企業の目指す方向に合わせ、分離したり併合したりして、運用していくのである。
まさに、昇格基準と昇進・任用基準の客観性ある条件づくりと明確な運用の公開制こそが、企業勝ち残りのための従業員の挑戦意欲の喚起と少数精鋭・重課主義のもとに、一握りのコアとなる人材の選別・選抜を促す企業の必然性とが、一致することになる。
本書は、このような考えと方向を具現性をもってシステム化するための基本的な考え方と基準づくりに当たってのポイントを提示、あわせて、運用している各企業の制度マニュアル、基準・運用規程を、各企業の協力のもと公開することによって、昇格・昇進システムの改善、改革を目指す各企業の参考に供するものである。
なお、本書は、2002年11月に産労総合研究所より発行した「昇格・昇進の設計とモデル規程集」に加筆・修正を行い、再編集し提供するものである。
平成16年1月
松田憲二
松田憲二
ご購入はこちら
■松田 憲二・著 |