人事
人事制度構築/運用・人事評価改訂4版
人事考課ハンドブック
人事
人事制度構築/運用・人事評価
■楠田 丘・監修/野原 茂・著 |
目次
- 監修のことば
- まえがき
- 第1章 時代とともに人事考課も変わる
- 1 従来の人事考課にみられる特徴
- (1)結果良ければすべて良し―結果重視型人事考課
- (2)順位づけすることがねらい―差別偏重型人事考課
- (3)主観やイメージによる評価―主観・イメージ型人事考課
- (4)“褒美をとらせるぞ”式の評価―アメ・ムチ型人事考課
- (5)マル秘扱い―疎外型人事考課
- 2 職場を取り巻く環境も変わる
- (1)いま、部下とともに成果を上げる時代
- (2)上司と部下の関係は、仕事の「分与」と「関与」の関係
- (3)情報力を活かしたマネジメント
- (4)求められる、部下とともに歩む姿勢
- (5)能力主義と実力主義のクローズアップ
- (6)減点主義から加点主義
- 3 生まれ変わりつつある人事考課
- (1)結果重視型から過程(プロセス)重視型へ
- (2)差別偏重型から能力開発型へ
- (3)主観、イメージ型から絶対評価型へ
- (4)アメ・ムチ型から動機づけ型へ
- (5)部下疎外型からオープン型(参画型)へ
- 第1章のまとめ
- 第2章 人事考課とマネジメント
- 1 人事考課は、部下管理そのものである
- 2 人事考課と面接
- 3 P―D―C―Aと人事考課
- 1.プラン(P)の段階
- 2.ドウ(D)の段階
- 3.チェック(C)の段階
- 4.アクション(A)の段階
- 第2章のまとめ
- 第3章 人事考課の仕組み―絶対考課とその要件
- 1 絶対基準とは
- (1)役割としての職務基準の明確化
- (2)能力としての職能要件の明確化
- 1.職能資格制度確立の必要性
- 2.職能要件を明確化するための職務調査
- 2 人事考課の理論的編成
- (1)成績考課と能力考課の分離
- (2)成績考課と業績考課の違い
- (3)情意考課の適用
- (4)各考課の成立条件
- 1.成績考課
- 2.業績考課
- 3.能力考課
- 4.情意考課
- 3 事態の改善
- 4 面接制度
- (1)面接制度は人事考課の決め手
- (2)目標面接のねらい
- (3)目標面接制度の仕組みのあらまし
- 5 公正な処遇のためのルール化
- 6 コンピテンシー評価(実力)と人事考課(能力)
- (1)能力と実力の違い
- (2)アセスメントとコンピテンシー
- 第3章のまとめ
- 第4章 人事考課の実際
- 1 人事考課を正しく行うための三つの判断行動
- 2 行動の選択
- (1)ファクト・ファインディング―人事考課の対象となる行動
- (2)行動の記録
- (3)取り上げるべき行動の範囲
- (4)行動の選択と考課期間
- 1.成績、情意考課の場合
- 2.能力考課の場合
- 3 要素の選択
- (1)要素(評価、または考課項目)とは
- (2)評価する際の着眼点
- (3)要素の選択をする際のルール
- 1.一つの行動は一つの「要素」で
- 2.“島”(考課区分)〟が違えば二つ以上の「要素」に
- 4 段階の選択
- (1)評価尺度について―評価尺度にはどのようなものがあるか
- 1.評価尺度にもいろいろある
- 2.評価区分基準について
- (2)基準「B」に対する考え方
- (3)その他、段階の選択に当たっての留意点
- 1.成績考課の場合
- Aチャレンジしたときの考課はどうすべきか
- B配転直後の成績考課
- 2.能力考課の場合
- A中間項とその排除
- B配転直後の能力考課
- C成績考課の要因分析こそ能力考課
- D職能要件(等級基準)と習熟レベルの定義
- 3.情意考課の場合
- A情意考課に「S」はありうるか
- B帳消し考課
- (4)人事考課のエラー
- 1.ハロー効果
- 2.寛大化傾向
- 3.中心化、極端化(分散化)傾向
- 4.論理的誤差
- (5)対比誤差
- 5 人事考課のとりまとめ
- (1)人事考課は修正すべきではない
- (2)成績考課のとりまとめ―課業別遂行度と総合評価
- (3)考課結果のフィードバック
- 1.フィードバックのねらい
- 2.フィードバックする際の留意点
- 3.部下の自己評価と上司評価の照合、確認
- 4.部下の自己評価が意味するもの
- 6 人事考課のコンセンサスづくりと考課者訓練
- 第4章のまとめ
- 第5章 部下の育成と人事考課―考課要素ごとの部下育成のポイント
- 1 情意の育成
- (1)規律性の指導
- 1.率先垂範
- 2.助言、提案
- 3.ほめる、しかる
- 4.説得
- (2)協調性の指導
- 1.対話による指導
- 2.会議やミーティングによる指導
- (3)積極性の指導
- 1.限界状況を体験させる
- 2.対話(面接)
- 3.自己啓発の援助
- (4)責任性の指導
- 1.示範する
- 2.助言
- 3.課題研究
- 2 基本的能力の育成
- (1)知識を習得させる方法
- 1.修得要件の検討と習得方法の決定
- 2.読書指導
- 3.通信教育の受講指導
- 4.説明する(話す)
- (2)技能を習得させる方法
- 1.示範(やってみせる)
- 2.“教え方”の四段階法の活用
- 3.間違いの直し方
- 3 習熟能力の育成
- (1)「判断力」の育成方法
- 1.特別な課題や仕事の割り当て
- 2.問題解決の援助
- (2)企画力の育成方法
- 1.質問する(聞いてみる)
- 2.提案、意見具申をさせる
- (3)折衝力の育成方法
- 1.折衝力を向上させるための条件
- 2.会議での指導
- 3.代行させる
- (4)指導力の育成方法
- 1.グループ活動の積極的な活用
- 2.代行させる
- 第5章のまとめ
- 第6章 考課者に求められる条件
- (1)分析的、総合的なものの見方ができること
- (2)人をみる目を備えていること
- (3)人事考課制度、および運用に関する知識を十分に備えていること
- (4)職場の事情に精通していること
- (5)仕事に精通し、部下よりも能力的に優れていること
- (6)よいきき手であること
- 第6章のまとめ
はじめに
まえがき
人事考課に関する、優れた専門書や解説書は、数多く出版されているとはいうものの、それはどちらかといえば、人事業務に携わる人たちを対象に書かれたものが多く、また、たまたま、現場の管理監督者向きのものがあっても、表現が固かったりして、もう一つ、気軽になじめそうもないフシが見受けられます。
人事考課において、いちばん重要な役割を果たす人たちはだれかということになると、それは人事担当部門の部長さん、課長さん、係長さんでもなければ担当者でもない。実際に工場で生産を担当したり、営業活動に従事している職場の部長さん、課長さん、係長さん、主任さん、班長さんを真っ先にあげなければならないかと思います。
人事考課の運用のカギを握っているのは、人事担当部門の人たちではなく、それぞれの部門や、職場で部下の考課に当たっている考課者、すなわち管理監督者その人です。
どこに出しても、はずかしくないだけのシステムとしてのかたちが整えられていたとしても、実際に企業や組織の中で、考課に当たる人たちが、人事考課について正しく認識し、正しく考課することをしなければ、とてもわが社の人事考課は優れたものとはいえません。
人事考課が正しく行われない場合、いちばん困るのは管理監督者自身です。それによって、部下のやる気を喪失せしめたり、職場の人間関係をまずくし、生産性を低下させたりするからです。
さらにそれによって、最も被害をこうむるのは、その企業であり組織です。
そして、最も不幸な思いをするのは、管理監督者と一緒に仕事をしている部下たちです。それは、この人たちから、“やりがい”“生きがい”を奪い去ってしまうからです。
もちろん、そうあってはならないし、またそうならないようにするため、みなさん一生懸命努力し、慎重に考課に取り組んでいることとは思いますが、その一方では、人事考課を実施する時期になると頭を痛めたり、めいった気持ちになる管理監督者が、かなりいることも事実のようです。
そこで、第一線の管理監督者の方々が、自信をもって考課に臨めるよう、また、そのためのフォローに努力されているスタッフの方のお手伝いができればという思いをこめて、本書を執筆することにしました。
本書の内容は、各企業の考課者訓練のお手伝いをするかたわら、各企業の人事考課の実態の中から、把握した問題点を整理し、それを解決するいくつかの糸口になるようにとりまとめました。
本書によって、管理監督者の方々のそして人事スタッフの肩の荷が少しでも軽くなればと念じております。
次に本書をよりよくご理解いただくため、本書をとりまとめるに当たって心がけたこと、および本書の活用方法について、念のためにしたためておきます。
本書をまとめるに当たって心がけたこと
1.人事考課と、日常のマネジメント活動を極力関連づけて説明するようにしました。
日常の部下管理と人事考課との関連、人事考課により積極的に取り組むことが、日常の部下管理にどのような効果をもたらすかなどについて、強調することに力点を置きました。
2.人事考課の仕組みやルールについて、理解しやすいように言葉や表現方法を選びました。通勤の乗物の中や、会社の休憩時間に、気軽に読んでいただけるよう努力したつもりです。
本書の活用法について
1.ハンドブック、またはマニュアルとして活用していただけるようになっています。
本書をお読みいただく過程で、“わが社の場合は、こういうことも必要だ”、“わが社の場合は、これをつけ加えておいたほうがよい”といったものがありましたら、どうかそれを空白や空欄に記入しておいてください。
2.管理監督者訓練や、考課者訓練のテキスト、サブ・テキスト、参考書としても十分に活用していただけるように工夫しました。 拙著、前著「人材評価着眼点シート」(経営書院刊)と併読していただくとなお効果的です。
本書が、人事考課にかかわる方々のお役に少しても立てば、こんな喜ばしいことはありません。
なお、本書は楠田理論をベースに著者の考えをまとめたものです。前著に引き続き恩師楠田丘先生には監修をお願いしました。深甚の意を表する次第です。
人事考課に関する、優れた専門書や解説書は、数多く出版されているとはいうものの、それはどちらかといえば、人事業務に携わる人たちを対象に書かれたものが多く、また、たまたま、現場の管理監督者向きのものがあっても、表現が固かったりして、もう一つ、気軽になじめそうもないフシが見受けられます。
人事考課において、いちばん重要な役割を果たす人たちはだれかということになると、それは人事担当部門の部長さん、課長さん、係長さんでもなければ担当者でもない。実際に工場で生産を担当したり、営業活動に従事している職場の部長さん、課長さん、係長さん、主任さん、班長さんを真っ先にあげなければならないかと思います。
人事考課の運用のカギを握っているのは、人事担当部門の人たちではなく、それぞれの部門や、職場で部下の考課に当たっている考課者、すなわち管理監督者その人です。
どこに出しても、はずかしくないだけのシステムとしてのかたちが整えられていたとしても、実際に企業や組織の中で、考課に当たる人たちが、人事考課について正しく認識し、正しく考課することをしなければ、とてもわが社の人事考課は優れたものとはいえません。
人事考課が正しく行われない場合、いちばん困るのは管理監督者自身です。それによって、部下のやる気を喪失せしめたり、職場の人間関係をまずくし、生産性を低下させたりするからです。
さらにそれによって、最も被害をこうむるのは、その企業であり組織です。
そして、最も不幸な思いをするのは、管理監督者と一緒に仕事をしている部下たちです。それは、この人たちから、“やりがい”“生きがい”を奪い去ってしまうからです。
もちろん、そうあってはならないし、またそうならないようにするため、みなさん一生懸命努力し、慎重に考課に取り組んでいることとは思いますが、その一方では、人事考課を実施する時期になると頭を痛めたり、めいった気持ちになる管理監督者が、かなりいることも事実のようです。
そこで、第一線の管理監督者の方々が、自信をもって考課に臨めるよう、また、そのためのフォローに努力されているスタッフの方のお手伝いができればという思いをこめて、本書を執筆することにしました。
本書の内容は、各企業の考課者訓練のお手伝いをするかたわら、各企業の人事考課の実態の中から、把握した問題点を整理し、それを解決するいくつかの糸口になるようにとりまとめました。
本書によって、管理監督者の方々のそして人事スタッフの肩の荷が少しでも軽くなればと念じております。
次に本書をよりよくご理解いただくため、本書をとりまとめるに当たって心がけたこと、および本書の活用方法について、念のためにしたためておきます。
本書をまとめるに当たって心がけたこと
1.人事考課と、日常のマネジメント活動を極力関連づけて説明するようにしました。
日常の部下管理と人事考課との関連、人事考課により積極的に取り組むことが、日常の部下管理にどのような効果をもたらすかなどについて、強調することに力点を置きました。
2.人事考課の仕組みやルールについて、理解しやすいように言葉や表現方法を選びました。通勤の乗物の中や、会社の休憩時間に、気軽に読んでいただけるよう努力したつもりです。
本書の活用法について
1.ハンドブック、またはマニュアルとして活用していただけるようになっています。
本書をお読みいただく過程で、“わが社の場合は、こういうことも必要だ”、“わが社の場合は、これをつけ加えておいたほうがよい”といったものがありましたら、どうかそれを空白や空欄に記入しておいてください。
2.管理監督者訓練や、考課者訓練のテキスト、サブ・テキスト、参考書としても十分に活用していただけるように工夫しました。 拙著、前著「人材評価着眼点シート」(経営書院刊)と併読していただくとなお効果的です。
本書が、人事考課にかかわる方々のお役に少しても立てば、こんな喜ばしいことはありません。
なお、本書は楠田理論をベースに著者の考えをまとめたものです。前著に引き続き恩師楠田丘先生には監修をお願いしました。深甚の意を表する次第です。
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