立ち読み
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■楠田 丘・著
■四六判・241頁
■税込価格 2,530円
■ISBN978-4-86326-063-4 C2034
■発行日 2010年3月
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目次
はじめに
はしがき
この本は,いわば労使のための賃金入門書である。これから新しく賃金の実務に携わる人,いわば賃金のフレッシュマンに利用して いただけたらと思って書いた。
賃金には,労働または労働力の対価としての社会性と,企業の支払い能力や各人の貢献度によって配分される所得としての企業性の,2つの性格がある。
労働市場の変容や労働環境の変化,労働組合の個別賃金政策などもあって,これからの賃金は,ますます社会性が強まっていくと同時に,一方では企業性も高まっていこう。とくに不況期などでは, 企業性が強く出てくるといった側面もあろう。さらに,高齢化,定年延長,女性の労働力,高度の専門化といった新しい条件の中で,人事制度も変革を迫られてこようが,これとの関連で日本的能力主義賃金も21世紀をとおして一層の整備を必要としよう。
これからの賃金は,その水準の決定においても,個人個人の配分においても,制度の面でも,社会性をベースとして企業の特殊性をうまく反映させていくという課題の解決が迫られるものとなる。それだけに賃金実務に携わる人は,まず賃金の考え方の基本を十分整理しておくことが必要となろう。
この本を読んでいただければ,一通り賃金決定の基本を理論的体系的に理解していただけると思う。努めて平易に書いたつもりだがそれだけに説明が不足するなど,不備な点も多くあるが,その点については読者諸賢のお指摘を受けて修正していきたい。この本が入門書としての役割を果たしえれば,まことに幸いである。
また,この本の成るにあたって,日本賃金研究センターの武内崇夫,中山祥子両氏に全面的にお手伝い願ったことを記して,心かの感謝の意に代えたい。
なお,本書の初版は昭和46年から47年にかけて執筆したもので,その後数次にわたり今野絵里子さんの協力を得て内容の修正など行ってきたが,さらに賃金を取り巻く諸情勢がかなり変化してきており,今回,平成22年小田保典さんの全面的深い協力を得て大幅に加筆修正をすることとした。
1972年7月第1版1刷発行
1982年2月大幅加筆
1990年5月大幅加筆
1991年7月数字改訂
1993年5月数字改訂および一部加筆
1995年1月数字改訂
2010年3月大幅改訂
楠田 丘
著者紹介
■楠田 丘(くすだ きゅう)・・・昭和23年九州大学理学部数学科卒、労働省(現厚生労働省)入省。労働省統計業務指導官、経済企画庁経済研究所主任研究官、アジア経済研究所主任調査研究員などを歴任。産労総合研究所、日本賃金研究センター代表幹事などを務める。著書に『賃金テキスト』『職能資格制度』『人材社会学』(以上、経営書院)など多数。
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