人事
賃金・賞与・退職金改訂9版 賃金テキスト
人事
賃金・賞与・退職金立ち読み |
■楠田 丘・著 |
目次
- 目次
- はしがき
- 第1章 賃金の2つの性格
- 1 賃金とは何か―能力主義と成果主義
- (1) 哲学の違い
- (2) 労働市場の違い
- 2 戦後の日本の歴史
- 3 日本型賃金の過去100年と今日的課題
- 4 21世紀の労使の課題(WLBとWS)
- (1) WLB(ワークライフバランス)
- (2) WS(ワークシェアリング)
- 第2章 賃金水準の決定基準
- 1 賃金の決定要因―生産性と生計費
- 2 スタグフレーション下の賃金決定は譲歩均衡点となる
- 3 日本の賃金の特質
- 第3章 賃金のとらえ方
- 1 個別賃金と個人別賃金
- (1) 個別賃金―賃金の原点
- <1> 賃金表とは
- <2> ベアと定昇の区分が大切
- (2) 個人別賃金―個別賃金表をベースとして決まる
- (3) 個人別賃金が総合されて平均賃金
- (4) 雇用者所得―マクロとしての賃金
- (5) 賃金問題の4つの側面
- 2 賃金の高さの検討
- (1) 個人別賃金や個別賃金による高さの検討
- [1] 診断の3つの側面
- [2] モデル賃金の活用
- [3] 生計費資料の活用
- <1> 5つのレベル
- <2> 人事院の標準生計費の活用
- (2) 平均賃金(または総額賃金)による人件費の検討
- (3) 自社版「賃金白書」のすすめ
- [1] 賃金の高さについて
- [2] 賃金決定の仕組みについて
- [3] 生産性との関連について
- 3 生計費と賃金
- (1) 賃金決定基準としての生計費―基準生計費
- (2) 生計費と生活水準(生活内容)
- [1] 階層別生活水準と生計費
- [2] 「基準生計費」の“生活水準”
- (3) 時代と共に変わる標準生計費(最低期待水準=ゆとりのある生活水準)の内容
- (4) 生計費のとらえ方
- [1] 生計費把握の方法
- [2] 基準生計費と算定方式
- (5) 生計費不在のいま―生活大国を何で測るのか
- (6) 人事院の標準生計費―その活用と限界
- [1] 人事院標準生計費の意義
- [2] 人事院標準生計費の性格
- [3] 人事院標準生計費の限界
- [4] 人事院標準生計費の活用
- <1> 政策的活用のあり方
- <2> 自社賃金の診断
- 4 賃金統計の活用
- 第4章 賃金体系
- 1 人材政策の心・技・体
- 2 労使による改善スケジュール
- (1) 賃金体系の基本知識
- [1] 個別賃金の決定基準
- <1> 決定基準の明確化
- <2> 賃金表の設定
- <3> 人事諸制度を整備する
- <4> 社会・生活環境の整備
- <5> 産業レベルでの賃金政策
- <6> 付加的賃金の整備
- [2] 賃金体系の種別
- [3] 基本給の組み立てパターン
- [4] 年齢給の今日的機能
- (2) 日本的人事と今日的賃金体系
- [1] 人と企業の結びつき―3つのパターン
- [2] 日本的人事・賃金 ―社員の成長の側に視点を置く
- <1> 社員給(日本的人事・賃金システム)のメリットとデメリット
- <2> 加点主義人事への転換
- <3> 日本的雇用慣行を活かすこれからの賃金体系 ―職能給
- [3] 雇用形態の多様化への対応
- [4] 賃金体系の組み立て
- <1> キャリア形成と世帯形成
- <2> 昇格昇給と習熟昇給―職能給の仕組み
- <3> 生活給の上に職能給を乗せる
- <4> 勤続給の考え方
- <5> 必要な2つの手当
- (3) 基本給の構成
- [1] 構成割合の2つの側面
- [2] ピッチの割合が大切
- [3] 鍵を握る労使の賃金ビジョン
- (4) 年齢給と職能給の設計
- [1] 年齢給の考え方と設計
- <1> 年齢給ピッチのとらえ方
- <2> 基本給ピッチの3分の1が年齢給ピッチの標準目安―それを超えないように
- <3> ライフサイクルビジョンと年齢給のカーブ
- <4> マイナス定昇は労使の合意で
- <5> 年齢給の算定例
- [2] 職能給の考え方と設計
- <1> 昇格昇給と習熟昇給の割合がポイント
- <2> 設計上のポイント
- (5) 職能給導入の手順とポイント
- [1] 職能給導入の手順
- [2] 導入時の留意点
- <1> 移行時点での各人の「職能資格制度」
- <2> 初号に満たない場合は初号賃金まで引き上げる―必要追加原資
- <3> 上限を超えた場合の取り扱い
- <4> 移行後の留意点
- (6) 諸手当の考え方
- [1] 生活関連手当の考え方
- [2] 仕事関連手当の考え方
- [3] 能力関連手当の考え方
- 第5章 臨時給与など
- 1 臨時給与
- (1) 臨時給与の性格
- (2) 臨時給与のあり方
- [1] 臨時給与の機能
- [2] 臨時給与の設計
- <1> 固定的生活一時金プラス変動的業績賞与
- <2> 年間臨給協定
- [3] 成果配分のシステム
- [4] 個人配分の考え方
- 2 フリンジ・ベネフィット
- 第6章 ベア・定昇と賃金調整
- 1 生産性と賃金決定
- (1) 賃上げの吸収要因
- (2) 生産性基準原理
- 2 長期賃金政策
- 3 ベアと昇給と定昇
- (1) ベアと昇給と定昇の違い
- (2) ベアは率,定昇は額
- (3) 定昇がさき,ベアがあと
- (4) 賃上げと平均賃金(コスト)
- 4 ベアと個別賃金政策
- (1) ベアの配分
- (2) 賃金カーブの変化
- (3) ベアと賃金表改定
- 5 中途採用者の賃金
- 6 生涯ベースでの賃金
- (1) 賃金カーブの修正と賃金体系論
- (2) 個別賃金政策論
- 第7章 能力主義人事の進め方
- 1 日本的雇用慣行を活かす能力主義人事
- (1) 日本的雇用慣行―社員成長処遇システム
- <1> 企業と人との結びつき ―いろいろのパターン
- <2> 日本は“社員基準”人事
- (2) 日本的雇用慣行のメリットは活かし,デメリットは排除
- <1> 日本的雇用慣行のメリットとデメリット
- <2> メリットは活かし,デメリットは排除する
- <3> 雇用形態の多様化も大切
- 2 職能資格制度を軸としたトータルシステム
- (1) 社員としての「成長期待像」が基準
- <1> 等級基準
- <2> 職務基準
- <3> 職群基準
- (2) 職務調査と目標面接が鍵
- (3) 期待像を軸にした評価・育成
- (4) 個別管理と多元管理が能力主義
- 3 職能資格制度の考え方
- (1) 職能資格制度の意義
- (2) 職能資格制度のフレーム―設定上のポイント
- <1> 等級の数をどうする
- <2> 対応職位は下限でセットする
- <3> 昇給年数の表示の仕方
- (3) 導入上の留意点
- <1> 職能資格制度の意義と理解を高めること
- <2> 移行時は現状を尊重し常識的に
- <3> 職務調査は導入後でもよい―しかし必ず実施すること
- (4) 「職種」と職能資格制度
- <1> できるだけ全社共通の1本
- <2> 職能要件や昇格基準は職種ごとに設定し,職種特性を活かす
- <3> 賃金表もできるだけ1枚としたい
- <4> 職種別に職能資格制度を分離し,別建てとすることもありえる
- <5> 職群判の導入はぜひとも必要
- 4 昇格(処遇)と昇進(人材活用)の分離
- (1) 職能資格制度と「職務・職位」
- <1> 資格と課業
- <2> 資格と職位
- (2) 「処遇」は安定的,「人材活用」は機動的
- <1> 昇格(処遇)と昇進(配置)
- <2> 処遇と配置(人材活用)の分離
- <3> 昇格と昇進の運用の違い
- 第8章 実力主義・加点主義人事の進め方
- 1 「実力主義と加点主義」は能力主義と成果主義の接点
- (1) 「実力主義」の進め方
- (2) 「加点主義人事」の進め方
- <1> 公募制度
- <2> 自己申告制度
- <3> アセスメント
- <4> 目標面接制度
- <5> 複線型昇進制度
- 第9章 日本型成果主義と年俸制
- 1 ライフステージ別の賃金体系
- 2 基準賃金の組み替え
- 3 職責・役割・業績評価
- 4 年俸制の導入
- ◆図索引
- ◆表索引
はじめに
はしがき
この本は,いわば労使のための賃金入門書である。これから新しく賃金の実務に携わる人,いわば賃金のフレッシュマンに利用して いただけたらと思って書いた。
賃金には,労働または労働力の対価としての社会性と,企業の支払い能力や各人の貢献度によって配分される所得としての企業性の,2つの性格がある。
労働市場の変容や労働環境の変化,労働組合の個別賃金政策などもあって,これからの賃金は,ますます社会性が強まっていくと同時に,一方では企業性も高まっていこう。とくに不況期などでは, 企業性が強く出てくるといった側面もあろう。さらに,高齢化,定年延長,女性の労働力,高度の専門化といった新しい条件の中で,人事制度も変革を迫られてこようが,これとの関連で日本的能力主義賃金も21世紀をとおして一層の整備を必要としよう。
これからの賃金は,その水準の決定においても,個人個人の配分においても,制度の面でも,社会性をベースとして企業の特殊性をうまく反映させていくという課題の解決が迫られるものとなる。それだけに賃金実務に携わる人は,まず賃金の考え方の基本を十分整理しておくことが必要となろう。
この本を読んでいただければ,一通り賃金決定の基本を理論的体系的に理解していただけると思う。努めて平易に書いたつもりだがそれだけに説明が不足するなど,不備な点も多くあるが,その点については読者諸賢のお指摘を受けて修正していきたい。この本が入門書としての役割を果たしえれば,まことに幸いである。
また,この本の成るにあたって,日本賃金研究センターの武内崇夫,中山祥子両氏に全面的にお手伝い願ったことを記して,心かの感謝の意に代えたい。
なお,本書の初版は昭和46年から47年にかけて執筆したもので,その後数次にわたり今野絵里子さんの協力を得て内容の修正など行ってきたが,さらに賃金を取り巻く諸情勢がかなり変化してきており,今回,平成22年小田保典さんの全面的深い協力を得て大幅に加筆修正をすることとした。
1972年7月第1版1刷発行
1982年2月大幅加筆
1990年5月大幅加筆
1991年7月数字改訂
1993年5月数字改訂および一部加筆
1995年1月数字改訂
2010年3月大幅改訂
楠田 丘
この本は,いわば労使のための賃金入門書である。これから新しく賃金の実務に携わる人,いわば賃金のフレッシュマンに利用して いただけたらと思って書いた。
賃金には,労働または労働力の対価としての社会性と,企業の支払い能力や各人の貢献度によって配分される所得としての企業性の,2つの性格がある。
労働市場の変容や労働環境の変化,労働組合の個別賃金政策などもあって,これからの賃金は,ますます社会性が強まっていくと同時に,一方では企業性も高まっていこう。とくに不況期などでは, 企業性が強く出てくるといった側面もあろう。さらに,高齢化,定年延長,女性の労働力,高度の専門化といった新しい条件の中で,人事制度も変革を迫られてこようが,これとの関連で日本的能力主義賃金も21世紀をとおして一層の整備を必要としよう。
これからの賃金は,その水準の決定においても,個人個人の配分においても,制度の面でも,社会性をベースとして企業の特殊性をうまく反映させていくという課題の解決が迫られるものとなる。それだけに賃金実務に携わる人は,まず賃金の考え方の基本を十分整理しておくことが必要となろう。
この本を読んでいただければ,一通り賃金決定の基本を理論的体系的に理解していただけると思う。努めて平易に書いたつもりだがそれだけに説明が不足するなど,不備な点も多くあるが,その点については読者諸賢のお指摘を受けて修正していきたい。この本が入門書としての役割を果たしえれば,まことに幸いである。
また,この本の成るにあたって,日本賃金研究センターの武内崇夫,中山祥子両氏に全面的にお手伝い願ったことを記して,心かの感謝の意に代えたい。
なお,本書の初版は昭和46年から47年にかけて執筆したもので,その後数次にわたり今野絵里子さんの協力を得て内容の修正など行ってきたが,さらに賃金を取り巻く諸情勢がかなり変化してきており,今回,平成22年小田保典さんの全面的深い協力を得て大幅に加筆修正をすることとした。
1972年7月第1版1刷発行
1982年2月大幅加筆
1990年5月大幅加筆
1991年7月数字改訂
1993年5月数字改訂および一部加筆
1995年1月数字改訂
2010年3月大幅改訂
楠田 丘
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