2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査

人事

国内・海外出張旅費に関する調査
掲載している雑誌:労務事情

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」を実施しました。

 

調査結果のポイント

1. 国内出張旅費

  • 日帰り出張の日当を支給する企業は84.2%。平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)は,部長クラス2,666円,一般社員2,094円
  • 宿泊出張の日当を支給する企業は91.2%。平均支給額(全地域一律の場合)は,部長クラス2,900円,一般社員2,355円
  • 宿泊出張の宿泊料(全地域一律の場合)の平均支給額は,部長クラス9,835円,一般社員8,605円
  • 「新幹線グリーン車」の利用を許可している企業は,部長クラス18.1%(そのつど判断を含む)
  • 有期契約社員の出張がある企業は72.9%,そのうち日当等が正社員と同じ企業が95.2%

2. 海外出張旅費

  • 日当の平均支給額(円建て企業)は,北米地域で,部長クラス5,593円,一般社員4,913円,中国地域で,部長クラス5,185円,一般社員4,514円
  • 宿泊料の平均支給額(円建て企業)は、北米地域で、部長クラス16,385円,一般社員14,621円,中国地域で,部長クラス13,570円,一般社員12,085円
  • 海外旅行傷害保険に加入している企業は75.4%。治療費の平均保険金額をみると、部長クラス935万円~一般社員880万円,疾病保険は部長クラス902万円~一般社員857万円
  • 航空機の利用は,部長クラスで「エコノミークラス」65.5%

 

調査要領

【調査名】  「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」
【調査対象】 当社会員企業および上場企業から任意に抽出した約3,000社
【調査時期】 2019年6月
【調査方法】 郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】 締切日までに回答のあった171社について集計

集計対象企業の内訳

図表

調査結果の概要

1-1. 国内/日帰り出張

(1)日当の支給状況

通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況をみると,「支給する」が84.2%,「支給しない」が15.2%であった。
日当を支給する企業においては,日当を「全員一律同額」としている企業が21.5%,「支給区分がある」とする企業が78.5%。支給区分については,「役職・資格」が80.5%,「目的地までの距離」が22.1%,「目的地までの所要時間」が10.6%,「出張地域」が9.7%であった。

表1 通常の日帰り出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表1 通常の日帰り出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

(2)日当の平均支給額

日当を出張の距離・時間・地域等によらず一律にしている企業の平均支給額は,社長4,458円,専務3,781円,常務3,716円,取締役3,613円,部長クラス2,666円,課長クラス2,479円、係長クラス2,224円,一般社員2,094円となった。
この平均支給額を一般社員を100とした指数でみると,社長212.9,専務180.6,常務177.5,取締役172.5,部長クラス127.3,課長クラス118.4,係長クラス106.2となっている。

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

1-2. 国内/宿泊出張

(1)日当の支給状況

通常の宿泊出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況についてみると,「支給する」が91.2%,「支給しない」は4.7%であった。
日当を支給する企業においては,「全員一律同額」が32.7%,「支給区分がある」が67.3%であった。支給区分を設けている企業では,「役職・資格」が91.4%,「出張地域」が9.5%,「目的地までの距離」が5.7%となっている。
日当を「全地域一律同額」としている企業の平均支給額は,社長4,598円,専務3,934円,常務3,968円,取締役3,802円,部長クラス2,900円,課長クラス2,711円,係長クラス2,458円,一般社員2,355円である。
この平均支給額を,一般社員を100とした指数でみると,社長195.2,専務167.0,常務168.5,取締役161.4,部長クラス123.1,課長クラス115.1,係長クラス104.4となっている。

表3 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表3 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表4 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」(1日分)の平均支給額(全地域一律の場合)

表4 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」(1日分)の平均支給額(全地域一律の場合)

(2)宿泊料

宿泊料については,宿泊地域等によって区分を設けている企業もある。回答企業では「全員一律同額」が21.1%,「支給区分がある」が73.7%であった。支給区分については,「役職・資格」が76.2%,「出張地域」が50.8%であった。
宿泊料を「全地域一律」(全員・全地域一律+役職・資格区分のみ)とする企業における平均支給額をみると,社長14,095円,専務12,568円,常務12,722円,取締役11,838円,部長クラス9,835円,課長クラス9,345円,係長クラス8,836円,一般社員8,605円である。
この平均支給額を,一般社員を100とした指数でみると,社長163.8,専務146.1,常務147.8,取締役137.6,部長クラス114.3,課長クラス108.6,係長クラス102.7となっている。

表5 宿泊出張における「宿泊料」の支給区分

表5 宿泊出張における「宿泊料」の支給区分

表6 宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)

表6 宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)

(3)グリーン車・スーパーシート等の利用許可状況

在来特急のグリーン車利用は,役員(平取締役)に認めている企業が45.0%,部長クラス11.1%,課長クラス5.3%,一般社員1.2%となっている。「そのつど判断する」企業は,役員(平取締役)14.6%,部長クラス14.6%,課長クラス12.9%,一般社員13.5%。
新幹線のグリーン車については,役員(平取締役)に認める企業が43.3%,部長クラスは3.5%。「そのつど判断する」企業は,役員(平取締役)14.6%,部長クラス14.6%,課長クラス14.0%,一般社員14.0%。
航空機のスーパーシート等については,役員(平取締役)に「認める企業」が26.9%。「そのつど判断する」企業は,役員(平取締役)18.1%,部長クラス14.0%,課長クラス12.9%,一般社員12.9%。

表7 グリーン車・スーパーシート等の利用(調査計)

表7 グリーン車・スーパーシート等の利用(調査計)

(4)有期契約社員の出張の取扱い

有期契約社員の出張が「ある」72.9%,「ない」27.1%。「ある」企業の出張の内容(複数回答)は,「国内日帰り出張」59.0%,「国内宿泊出張」56.2%,「海外出張」34.3%である。日当等が「正社員と同じ」企業が95.2%,「正社員と異なる」企業が3.8%であった。

表8 有期契約社員の出張

表8 有期契約社員の出張

(5)国内出張旅費の削減策

国内出張旅費の削減策をみると(複数回答), 「テレビ会議やウェブツールによる代替」45.0%,「会社による一括管理」22.2%,「出張回数・人数の削減」21.1%,「回数券の利用」19.3%,「旅行パックの利用」18.7%などとなっている。

表9 国内出張旅費の削減策(複数回答)

表9 国内出張旅費の削減策(複数回答)

2. 海外出張

(1)日当

海外出張の日当について,出張地域別に平均支給額を部長クラスと一般社員でみると,円建て企業では,北米で部長クラス5,593円・一般社員4,913円,中国で部長クラス5,185円・一般社員4,514円,東南アジアで部長クラス5,226円・一般社員4,543円などである。
また、役職・資格別の格差について,一般社員を100とした指数でみると,部長クラスでは,北米で113.9,中国114.9,東南アジア115.0,課長クラスでは,北米108.0,中国108.3,東南アジア112.4などとなっている。

(2)宿泊料

海外出張の宿泊料について,平均支給額を部長クラスと一般社員でみると,円建て企業では,北米で部長クラス16,385円・一般社員14,621円,中国で部長クラス13,570円・一般社員12,085円,東南アジアで部長クラス13,588円・一般社員12,092円などである。
また,役職・資格別の格差について,一般社員を100とした指数でみると,部長クラスでは,北米112.1,東南アジア111.5,中国112.3,課長クラスで,北米105.6,中国106.1,東南アジア105.3などとなっている。

表10 地域別、役職別にみた日当・宿泊料(円建て企業)

表10 地域別、役職別にみた日当・宿泊料(円建て企業)

(3)海外旅行傷害保険の加入状況

社員の海外出張に際して,不測の事態に備えて海外旅行傷害保険に加入する企業も多い。回答企業では,海外旅行傷害保険に「加入している」企業は75.4%,「加入していない」企業は12.3%であった。加入対象者は「出張者全員」が93.0%である。
治療費の平均保険金額をみると,傷害保険は部長クラス935万円~一般社員880万円,疾病保険は部長クラス902万円~一般社員857万円。死亡・後遺障害の平均保険金額は,傷害保険が部長クラス4,290万円~一般社員3,996万円,疾病保険は,部長クラス2,613万円~一般社員2,483万円であった。

表11 傷害保険の保険金額

表11 傷害保険の保険金額

表12 疾病保険の保険金額

表12 疾病保険の保険金額

(4)航空機の利用クラス基準

海外出張時の航空機の利用クラス基準について,出張旅費規程等でどう定められているかをみると,役員は,「ビジネスクラス」35.1%,「エコノミークラス」26.9%,「ファーストクラス」1.8%。部長クラスは,「ビジネスクラス」6.4%,「エコノミークラス」65.5%。課長クラスは,「ビジネスクラス」2.3%,「エコノミークラス」70.2%。一般社員は,「ビジネスクラス」1.2%,「エコノミークラス」71.9%であった。

(5)海外出張旅費の削減策

海外出張旅費の削減策をみると(複数回答),「テレビ会議やウェブツールによる代替」29.2%,「会社による一括管理(予約・手配等)」28.7%,「出張回数・人数の制限」16.4%などが多かった。

表13 海外出張旅費の削減策(複数回答)

表13 海外出張旅費の削減策(複数回答)

※ 詳細データは「労務事情」2019年10月1日号, 10月15日号に掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所「労務事情」編集部   担当:日野
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