2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査

人事

国内・海外出張旅費に関する調査
掲載している雑誌:労務事情

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」を実施しました。

 

調査結果のポイント

1. 国内出張旅費

  • 日帰り出張の日当を支給する企業は86.8%。平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)は,部長クラス2,491円,一般社員1,954円
  • 宿泊出張の日当を支給する企業は91.4%。平均支給額(全地域一律の場合)は,部長クラス2,809円,一般社員2,222円
  • 宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)は,部長クラス9,870円,一般社員8,723円
  • 新幹線グリーン車の利用を許可している企業は,部長クラスで19.5%(条件付きの許可を含む)
  • 有期契約社員の出張がある企業は60.3%,そのうち日当等が正社員と同じ企業が81.9%

2. 海外出張旅費

  • 日当の平均支給額(円建て企業)は,北米で部長クラス6,189円,一般社員5,080円,中国地域で部長クラス5,604円,一般社員4,603円
  • 宿泊料の平均支給額(円建て企業)は,北米で部長クラス15,950円,一般社員14,170円,中国地域で部長クラス13,780円,一般社員12,259円
  • 海外旅行傷害保険に加入している企業は79.9%。治療費の平均保険金額をみると,傷害保険は部長クラス923万円~一般社員875万円,疾病保険は部長クラス680万円~一般社員671万円
  • 航空機の利用クラスは,部長クラスで「ビジネスクラス」5.7%,「エコノミークラス」61.5%

 

調査要領

【調査名】  「2017年度 国内・海外出張旅費に関する調査」
【調査対象】 当社会員企業および上場企業から任意に抽出した約3,000社
【調査時期】 2017年6月
【調査方法】 郵送によるアンケート調査方式
【集計対象】 締切日までに回答のあった174社について集計

集計対象企業の内訳

図表

調査結果の概要

1-1. 国内/日帰り出張

(1)日当の支給状況

通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況をみると,「支給する」が86.8%,「支給しない」が10.3%であった。
日当を支給する企業においては,日当を「全員一律同額」としている企業が22.5%,「支給区分がある」とする企業が77.5%。支給区分については,「役職・資格」が85.5%,「目的地までの距離」が23.1%,「出張地域」が10.3%であった。

表1 通常の日帰り出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表1 通常の日帰り出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

(2)日当の平均支給額

日当を出張の距離・時間・地域等によらず一律にしている企業の平均支給額は,社長4,621円,専務3,624円,常務3,317円,取締役3,079円,部長クラス2,491円,課長クラス2,309円,係長クラス2,076円,一般社員1,954円となった。
この平均支給額を、一般社員を100とした指数でみると,社長236.5,専務185.5,常務169.8,取締役157.6,部長クラス127.5,課長クラス118.2,係長クラス106.2となっている。

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

表2 通常の日帰り出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の平均支給額(距離・時間・地域区分がない場合)

1-2. 国内/宿泊出張

(1)日当の支給状況

通常の宿泊出張(早朝出発,時間外〈深夜〉帰着を除く)における日当の支給状況についてみると,「支給する」が91.4%,「支給しない」は5.7%であった。
日当を支給する企業においては,「全員一律同額」が26.4%,「支給区分がある」が73.0%であった。支給区分については,「役職・資格」が90.5%,「目的地までの距離」「出張地域」が7.8%となっている。
日当を「全員一律同額」としている企業の平均支給額は,社長4,799円,専務4,042円,常務3,759円,取締役3,518円,部長クラス2,809円,課長クラス2,593円,係長クラス2,337円,一般社員2,222円である。
この平均支給額を,一般社員を100とした指数でみると,社長216.0,専務181.9,常務169.2,取締役158.3,部長クラス126.4,課長クラス116.7,係長クラス105.2となっている。

表3 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表3 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」の支給状況

表4 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」(1日分)の平均支給額(全地域一律の場合)

表4 通常の宿泊出張(早朝出発、時間外〈深夜〉帰着を除く)における「日当」(1日分)の平均支給額(全地域一律の場合)

(2)宿泊料

宿泊料については,宿泊地域等によって区分を設けている企業もある。回答企業では「全員一律」が18.4%,「支給区分がある」が73.6%であった。支給区分については,「役職・資格」が76.6%、「出張地域」が53.9%であった。
宿泊料を「全地域一律」(全員・全地域一律+役職・資格区分のみ)とする企業における平均支給額をみると,社長14,242円,取締役11,784円,部長クラス9,870円,課長クラス9,291円,係長クラス8,929円,一般社員8,723円である。
この平均支給額を,一般社員を100とした指数でみると,社長163.3,取締役135.1,部長クラス113.1,課長クラス106.5,係長クラス102.4となっている。

表5 宿泊出張における「宿泊料」の支給区分

表5 宿泊出張における「宿泊料」の支給区分

表6 宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)

表6 宿泊出張の宿泊料の平均支給額(全地域一律の場合)

(3)グリーン車・スーパーシート等の利用許可状況

在来特急のグリーン車利用は,役員(平取締役)に認める企業が42.0%,部長クラス12.6%,課長クラス4.0%,一般社員はなしであった。「条件付きで認める」企業は,役員(平取締役)で11.5%,部長クラス14.4%,課長クラス13.2%,一般社員12.6%となっている。
新幹線のグリーン車については,役員(平取締役)に認める企業が41.4%,部長クラスは5.7%。「条件付きで認める」企業は,役員(平取締役)で11.5%,部長クラス13.8%,課長クラス11.5%,一般社員10.9%となっている。
航空機のスーパーシート等については,役員(平取締役)に認める企業が25.3%。「条件付きで認める」企業は,役員(平取締役)で9.8%,部長クラス12.1%,課長クラス10.3%,一般社員9.8%となっている。

表7 グリーン車・スーパーシート等の利用(調査計)

表7 グリーン車・スーパーシート等の利用(調査計)

(4)有期契約社員の出張の取扱い

有期契約社員の出張が「ある」企業が60.3%,「ない」企業が32.8%。「ある」企業の出張の内容(複数回答)は,「国内日帰り出張」67.6%、「国内宿泊出張」59.0%,「海外出張」38.1%。日当等が「正社員と同じ」企業が81.9%,「正社員と異なる」企業が6.7%であった。

表8 有期契約社員の出張

表8 有期契約社員の出張

(5)国内出張旅費の削減策

国内出張旅費の削減策をみると(複数回答),「会社による一括管理」21.8%,「旅行パックの利用」19.0%,「回数券の利用」18.4%,「出張回数・人数の削減」17.8%などとなっている。

表9 国内出張旅費の削減策(複数回答)

表9 国内出張旅費の削減策(複数回答)

2. 海外出張

(1)日当

海外出張の日当について,出張地域別に平均支給額を部長クラスと一般社員でみると,円建て企業では,北米で部長クラス6,189円・一般社員5,080円,中国で部長クラス5,604円・一般社員4,603円,東南アジアで部長クラス5,710円・一般社員4,677円などである。
また,役職・資格別の格差について,一般社員を100とした指数でみると,部長クラスでは,北米で121.8,中国121.7,東南アジア122.1,課長クラスでは,北米114.2,中国114.3,東南アジア114.4などとなっている。

(2)宿泊料

海外出張の宿泊料について,平均支給額を部長クラスと一般社員でみると,円建て企業では,北米で部長クラス15,950円・一般社員14,170円,中国で部長クラス13,780円・一般社員12,259円,東南アジアで部長クラス14,404円・一般社員12,760円などである。
また,役職・資格別の格差について,一般社員を100とした指数でみると,部長クラスでは,北米112.6,中国112.4,東南アジア112.9,課長クラスで,北米106.2,中国106.1,東南アジア106.5などとなっている。

表10 地域別、役職別にみた日当・宿泊料(円建て企業)

表10 地域別、役職別にみた日当・宿泊料(円建て企業)

(3)海外旅行傷害保険の加入状況

社員の海外出張に際して,不測の事態に備えて海外旅行傷害保険に加入する企業も多い。回答企業では,海外旅行傷害保険に「加入している」企業は79.9%,「加入していない」企業は10.3%であった。加入対象者は「出張者全員」が94.2%である。
治療費の平均保険金額をみると,傷害保険は部長クラス923万円~一般社員875万円,疾病保険は部長クラス680万円~一般社員671万円。死亡・後遺障害の平均保険金額は,傷害保険が部長クラス3,734万円~一般社員3,399万円,疾病保険は,部長クラス2,058万円~一般社員1,964万円であった。

表11 傷害保険の保険金額

表11 傷害保険の保険金額

表12 疾病保険の保険金額

表12 疾病保険の保険金額

(4)航空機の利用クラス基準

海外出張時の航空機の利用クラス基準について,出張旅費規程等でどう定められているかをみると,役員は,「ビジネスクラス」32.8%,「エコノミークラス」32.8%,「ファーストクラス」2.3%。部長クラスは,「ビジネスクラス」4.6%,「エコノミークラス」71.3%。課長クラスは,「ビジネスクラス」0.6%,「エコノミークラス」75.3%。一般社員は,「ビジネスクラス」とする企業はなく,「エコノミークラス」76.4%であった。

(5)海外出張旅費の削減策

海外出張旅費の削減策をみると(複数回答),「テレビ会議やウェブツールによる代替」25.9%,「会社による一括管理」24.7%,「ビジネスクラスの利用制限」20.7%,「出張回数・人数の制限」17.2%などとなっている。

表13 海外出張旅費の削減策(複数回答)

表13 海外出張旅費の削減策(複数回答)

※ 詳細データは「労務事情」2017年10月1日号, 10月15日号に掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所「労務事情」編集部   担当:日野、中河
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