産労総研の定期刊行誌「労務事情」では、ほぼ3年おきに「出張旅費に関する調査」を実施してきたが、このほど「2011年度国内・海外出張旅費調査」を実施し、101社から回答をいただいた。
出張旅費の実態について、調査結果を紹介する。
調査要領
【調査対象】当社会員企業および上場企業3,000社
【回答数】 101社
【調査時期】2011年9月
調査結果ハイライト
1.国内出張について
(1)日帰り出張(国内)の日当
・通常の日帰り出張における日当の支給状況をみると、「支給する」が86.1%。
日当の支給基準は「一律同額」が42.5%、距離・時間・地域等によって「区分を設けている」が56.3%であった。
表1 通常の日帰り出張における「日当」の支給状況
・一律同額の場合の平均支給額は、社長3,775円、取締役2,907円、部長クラス2,365円、課長クラス2,204円、一般社員1,923円。この平均支給額を一般社員を100とした指数でみると、課長クラス115、部長クラス123、取締役151、社長196となっている。
図表1 日帰り出張の日当の平均支給額(調査計)
(2)宿泊出張(国内)の日当、宿泊料
・通常の宿泊出張における日当の支給状況をみると、「支給する」が89.1%。日当の支給基準は「一律同額」が64.4%、距離・時間・地域等によって「区分を設けている」が33.3%であった。
表2 通常の宿泊出張における「日当」の支給状況
・日当の「一律同額」の場合の平均支給額は、社長5,016円、取締役3,792円、部長クラス2,979円、課長クラス2,748円、一般社員2,429円。この平均支給額を一般社員を100とした指数でみると、課長クラス113、部長クラス123、取締役156、社長207となっている。
図表2 宿泊出張の日当および宿泊料の平均支給額(調査計)
・宿泊料については、「地域による区分を設けている」が56.4%、「全地域一律」が37.6%であった。
・「全地域一律」の場合の平均支給額は、社長13,573円、取締役11,528円、部長クラス9,900円、課長クラス9,605円、一般社員8,759円となっている。
・宿泊料の支給方法は「定額払い」57.4%、「実費支給」36.6%であった。
2.海外出張について
(1)海外出張の支度料
・海外出張における初航時支度料の支給状況をみると、「支給する」が73.3%。平均支給額は、北米への出張の場合、役員(平取締役)85,732円、課長クラス61,265円、一般社員54,080円。中国への出張の場合、役員(平取締役)75,244円、課長クラス55,245円、一般社員49,265円となっている。
図表3 初航時の支度料の支給状況
(2)滞在費(日当、宿泊料等)
・滞在費(日当、宿泊料等)の支払通貨は「円建て」が43.6%、「ドル建て」が30.7%。支給基準は、職階・資格や出張地域による「格差あり」が74.3%、「格差なし(全員・全地域同額支給)」が12.9%であった。
図表4 滞在費の支払通貨
・日当の平均支給額は、ドル建ての場合、北米への出張で役員61ドル・一般社員46ドル、中国への出張で役員59ドル・一般社員44ドル。円建ての場合、北米への出張で役員7,204円・一般社員4,709円、中国への出張で役員6,779円・一般社員4,306円。
・宿泊料の平均支給額は、ドル建ての場合、北米への出張で役員120ドル・一般社員97ドル、中国への出張で役員107ドル・一般社員83ドル。円建ての場合、北米への出張で役員17,719円・一般社員13,222円、中国への出張で役員16,252円・一般社員11,910円。
3.出張に関する種々の取扱いについて
(1)グリーン車、スーパーシート等の利用許可
・在来特急のグリーン車利用は、役員(平取締役)に認める企業が36.6%、課長クラスに認める企業が5.0%、一般社員に認める企業はなかった。新幹線のグリーン車利用は、役員(平取締役)に認める企業が34.7%、部長クラスに認める企業が5.0%。航空機のスーパーシート等の利用は、役員(平取締役)に認める企業が18.8%(いずれも、他に「条件付きで認める」企業がある)。
表3 グリーン車・スーパーシート等の利用許可状況(調査計)
(2)航空機の利用クラス基準等
・航空機の利用クラス基準についてみると、役員(平取締役)は「ビジネスクラス」が40.6%、部長クラスは「エコノミークラス」が66.3%、一般社員は「エコノミークラス」が75.2%が最も多かった。
図表5 航空機の利用クラス基準
・航空券等のディスカウントチケットを「利用している」企業は41.6%、「利用していない」企業は48.5%であった。
(3)出張旅費の削減策
・出張旅費の削減策としては、国内出張については「回数券の利用」(34.7%)、「テレビ会議やウエブツールによる代替む(33.7%)、「出張回数・人数の削減」(29.7%)、海外出張については「ディスカウントチケットや旅行パックの利用」(32.7%)、「会社による一括管理(予約・手配等)」(31.7%)、「出張回数・人数の制限」(20.8%)などが多かった(いずれも複数回答)。
図表6 出張旅費の削減策(複数回答,上位5つ)
※ 詳細データは「労務事情」2011年の11月1日・15日号にて掲載しています。