2012年度 労働時間、休日・休暇管理に関する調査

人事

労働時間、休日・休暇管理に関する調査
掲載している雑誌:労務事情

民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(東京都千代田区、代表 平盛之)が発行する定期刊行誌「労務事情」(編集長 日野啓介)は、1982年以来、定期調査を行っている「労働時間、休日・休暇管理に関する調査」を2007年より5年ぶりに実施した。

 

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調査結果のポイント

(1)所定労働時間

  • 所定労働時間10年以上変わらず、進まぬ時間短縮

(2)時間外労働に対する割増率

  • 「月60時間を超える」時間外労働、大企業、中堅企業のほとんどは「150%」の割増率に

(3)代替休暇制度

  • 長時間残業に対する割増賃金引上げ分の「代替休暇制度」普及せず、協定締結企業はわずか3.7%

(4)名ばかり管理職対策

  • 4社の1社が「名ばかり管理職」対策を実施、具体的対策は「管理職の人事・処遇制度の見直し」が6割弱(57.6%)

(5)所定外労働の削減措置

  • 所定外労働の削減措置を実施している企業は約8割、最も多い取り組みは「ノー残業デー等の導入・拡充」(64.2%)

(6)年休取得率の向上策

  • 9割以上の企業が年休取得率の向上策を実施「半日単位の年休取得制度」が最も多く88.7%、「時間単位」は16.9%

(7)失効する年休の積立保存制度

  • 半数以上の企業が、年休の積立保存制度あり

 

調査要領

【調査対象】当社の会員企業から一定の方法で抽出した企業および2007年調査に回答のあった企業約2,000社
【調査時期】2012年6月
【調査時点】2012年4月1日現在または2012年4月~2013年3月
【集計対象】締切日までに回答のあった136社

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調査結果の概要

(1)所定労働時間

所定労働時間10年以上変わらず、進まぬ時間短縮

本調査結果によると、下記の表のとおり、所定労働時間については10年以上ほとんど変わらず、時間短縮も進んでいないといえるだろう(表1)。

表1 2012年度の所定労働時間

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(2)時間外労働に対する割増率

「月60時間を超える」時間外労働、大企業、中堅企業のほとんどは「150%」の割増率に

改正労基法が2010年4月に施行され、労基法37条1項ただし書では、月60時間を超える時間外労働に対する割増率を25%から50%以上に引き上げることを定めているが、中小事業主については、当分の間適用が猶予されている(労基法138条)。
そこで、1カ月60時間を超える時間外労働の割増率を規模別にみると、大企業(1,000人以上)および中堅企業(300~999人)では、法定の「150%」とする企業(大企業97.1%、中堅企業82.4%)がほとんどだが、猶予措置を受けている中小企業については40.7%で、半数以上が「130%以下」の割増率にとどまっている(表2)。

表2 時間外労働、深夜労働、休日労働に対する割増率の分布状況(主なもの)

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(3)代替休暇制度

長時間残業に対する割増賃金引上げ分の「代替休暇制度」普及せず、協定締結企業はわずか3.7%

労基法37条3項では、月60時間を超える時間外労働に対する追加的割増賃金の代わりに、有給の休暇(代替休暇)を付与し、これを労働者が取得した場合は、追加的割増賃金の支払いが必要なくなるとされている。
この代替休暇制度は「労使協定の締結」が要件となっているが、実際に締結している企業は3.7%(5社)にすぎず、協定を締結していない企業が65.4%、無回答が30.9%であった。
大企業では、締結している企業が2.8%(1社)、締結していない企業が94.4%、無回答2.8%という結果で、ほとんどの企業が代替休暇制度を活用していない(表3)。

代替休暇は、発生のつど、労働者の意向を確認したうえ、日程を調整して、休暇が発生した月の翌月1日から2カ月以内に労働者の意思で取得するものである(労基法施行規則19条の2第1項3号)。月60時間もの時間外労働のある企業において2カ月以内に休暇を取得できるのかなど、制度の創設当初からさまざまな課題が指摘されていたが、ほとんど普及していないのが実情のようだ。

表3 代替休暇制度に関する労使協定締結の有無および代替休暇の単位

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(4)名ばかり管理職対策

4社の1社が「名ばかり管理職」対策を実施、具体的対策は「管理職の人事・処遇制度の見直し」が6割弱(57.6%)

十分な権限も報酬も得ていないのに管理職扱いとされ、残業代が支給されない“名ばかり管理職”に対して、残業代を支払うように命じる裁判例が相次ぎ、改善のための行政指導(通達)が発せられている(平20.4.1基監発0401001号「管理監督者の範囲の適正化について」ほか)。
そこで、この数年間における、名ばかり管理職問題の対策状況についてたずねると、4社の1社(25.0%)が「何らかの対策を実施した」と回答している。規模別にみると、対策を取った企業は中堅以上の企業に多かった。
次に、実施した企業における具体的な対策をみると、「管理職の人事・処遇制度の見直し」が6割弱(57.6%)で最も多く、次いで、「今後、非管理職に該当する者には残業代を支給」(24.2%)があげられた(複数回答、表4)。

表4 名ばかり管理職の対策

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(5)所定外労働の削減措置

所定外労働の削減措置を実施している企業は約8割、最も多い取り組みは「ノー残業デー等の導入・拡充」(64.2%)

 各社での所定外労働の削減措置等の取り組みがなされているかについてたずねたところ、削減措置等を実施している企業は、全体の約8割(83.2%)。規模別にみると、中堅企業以上のほとんどが実施しているが(大企業94.4%、中堅企業97.1%)、中小企業は68.3%であった。
企業が実施している施策については、「ノー残業デー等の導入・拡充」(64.2%)が最も多く、次いで、「フレックスタイム制や変形労働時間の活用等」(41.3%)であった(複数回答, 図1)。

図1 所定外労働時間の削減措置等の実施状況(複数回答)

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(6)年休取得率の向上策

9割以上の企業が年休取得率の向上策を実施「半日単位の年休取得制度」が最も多く88.7%、「時間単位」は16.9%

年休取得率向上のための実施状況をみると、実施している企業は9割(91.9%)を超えている。
具体的な対策は、「半日単位での取得制度」が88.7%で最も多く、次いで、「人事部門等が消化率をチェック」が41.1%であった。なお、このほど創設された「時間単位での取得制度」の実施率は16.9%である(複数回答, 図2)。

厚生労働省「2011年就労条件総合調査」によると、2010年(または2009会計年度)の1年間に企業が付与した年次有給休暇日数は、労働者1人平均17.9日で、取得日数は8.6日、取得率は48.1%となっている。5割に満たないこの取得率の低さが、日本の長時間労働の原因の1つとして指摘され、企業には取得率向上策の実施が求められている。

図2 年次有給休暇の取得率向上のための対策(複数回答)

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(7)失効する年休の積立保存制度

半数以上の企業が、年休の積立保存制度あり

失効する年休を積み立て、本人や家族の病気に際して療養や介護などに使用することができる制度として、失効する年休の積立保存制度がある。
調査結果をみると、半数以上の企業(55.6%)が積立保存制度を設けている。規模別にみると、大企業では8割近く(77.8%)が制度を設けているが、中堅企業では6割(60.0%)、中小企業では4割(40.6%)に減少する。
1年間に積み立てられる限度日数をみると、限度を設けている企業は7割(70.6%)で、平均日数は8.9日だった。
最高積立日数については、97.2%とほとんどの企業が限度日数を設けており、平均で39.6日であった(表5)。

表5 失効する年休の積立保存制度の有無と積立限度

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※ 詳細データは「労務事情」2012年8/1・15号、9/15号、10/15号にて掲載しています。

 

本リリースに関する取材などのお問い合わせ

株式会社産労総合研究所「労務事情」編集部   担当:日野
TEL 03(3237)1604   MAIL edt-b@sanro.co.jp


※上記電話番号はリリース発表当時のものです。お問い合わせは 03-5860-9792 にお願いします。

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