従業員1人あたりの教育研修費用は34,606円
3年度連続での増加となる
前年比2,194円増で、コロナ禍以前の水準に近づく
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび、「2024年度(第48回) 教育研修費用の実態調査」を実施しましたので、結果をお知らせします。
印刷用PDFのダウンロード
この調査は、企業内の教育研修の実態を知るため、1976年からほぼ毎年実施しているものです。第48回目となる今回の調査では、例年と同じく、国内企業における教育研修費用総額と従業員1人あたりの教育研修費用、昨年度の予算額や実績、今後の方向性などを聞いています。人的資本経営やキャリア自律支援への関心の高まりなどにより、教育体系や教育内容の再構築・見直しに取り組む企業も出てきています。本調査結果を、自社の教育制度の現状把握や今後の見直しの際の参考にしていただければと思います。
なお、本調査の詳細データは、『企業と人材』2024年10月号(No.1140)に掲載しています。
主なポイント
(1)従業員1人あたりの教育研修費用は34,606円で、昨年度より2,194円の増加。
(2)今後(1~3年)の教育研修費用総額を「増加」する見込みの企業は約6割。
(3)2024年度に重点的に取り組む教育研修は「新入社員教育」「キャリアデザイン・ライフプラン教育」など。
調査要領
調査対象 : 上場企業および当社会員企業から任意抽出した約3,000社
調査時期 : 2024年6~7月
集計方法 : 169社
発 表 : 『企業と人材』誌 2024年10月号で公表後、公式サイト上に掲載
回答企業の内訳
教育研修費用の実態調査 結果概要
1 従業員一人あたりの教育研修費用の推移
2023年度の従業員1人あたりの教育研修費用は34,606円
すべての企業規模で前年より増加
教育研修費用総額を回答企業の正規従業員数で割った「従業員1人あたりの教育研修費用」の2023年度実績額の平均は34,606円で、昨年度より2,194円増加した。1人あたりの教育研修費用は、コロナ禍で大きく減少した2020年度以降、連続での増加となり、コロナ禍前の水準である35,628円(2019年度実績額)に近づいている。
企業規模別では、大企業41,050円(前回調査34,730円)、中堅企業32,268円(同31,326円)、中小企業31,087円(同30,636円)とすべての規模で増加しており、特に大企業では6,320円の増加となっている。
図表 1 従業員1人あたりの教育研修費用の推移(実績額)
(参考) 従業員1人あたりの額と有効求人倍率・実質GDP成長率の推移
2 教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性
今後の教育研修費用総額の見通しについては
「増加」とする企業が約6割
今後(1~3年)の教育研修費用総額については、「かなり増加する見込み」という企業は8.9%、「やや増加する見込み」が50.6%で、合わせて59.5%と、昨年に続き、「増加」見込みが約6割ほどとなった。
「増加」見込みとした企業の理由をみると、「人的資本への投資」や「DX教育の強化」を進めるため、また、「新規研修の実施」や「社員のスキル・知識の向上」のために投資を増やす予定といった内容があがっていた。
図表 2 教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性
3 2024年度(今年度)重点的に取り組む教育研修
2024年度に重点的に取り組む教育研修は、
階層別教育は「新入社員教育」「中堅社員教育」
職種別・目的別教育は「キャリアデザイン・ライフプラン教育」
2024年度(今年度)に特に重点的に取り組む教育として、階層別教育8項目と職種別・目的別教育14項目(全22項目)のなかから3つまでを選んで回答してもらったところ、最も多かったのは、例年同様、「新入社員教育」(階層別教育)だった。次いで、「中堅社員教育」(階層別教育)、「上級管理者教育」(階層別教育)などとなっている。
職種別・目的別教育については、「キャリアデザイン・ライフプラン教育」や「選抜型幹部候補者育成教育」が高かった。
図表 3 2024年度(今年度)に重点的に取り組む教育研修(3つまでの複数回答、上位10項目)
用語の定義について
本調査でいう「教育研修費用(総額)」とは、次に掲げる各費用の合計額です。
② 外部講師費
③ 教材費
④ 外部教育機関への研修委託費およびセミナー・講座参加費
⑤ eラーニング・通信教育費
⑥ 公的資格取得援助費
⑦ 受講者・社内講師の日当・手当・交通費
⑧ 事務局費用
⑨ その他教育研修に必要な費用
※ただし、教育スタッフ・受講者などの人件費〈給与〉は含まない)
2024年度(第48回) 教育研修費用の実態調査結果
―産労レポート(詳細版)販売について―
教育研修費用の実態調査は、各企業において教育研修費用をどのように取り扱っているかをたずねた調査です。本調査結果は「産労レポート」として販売(冊子版、電子版<PDF>)いたします。
2024年度調査では、付帯調査として、人的資本の情報開示の状況についても聞いています。調査項目は以下の「主な調査項目」でご確認ください。
購入ご希望の方は、当社インターネットよりご注文ください。
【販売概要】
■電子版(PDF) 税込価格 6,600円
■50頁
■発行日 2024年10月9日
【主な調査項目】
・教育研修費用総額と従業員1人あたりの額(2023年度予算・実績と2024年度予算)
・2023年度の総売上高に占める教育研修費用総額(実績額)の割合
・2023年度予算と2024年度予算の比較
・2023年度の外部講師・教育機関への支払い総額と教育研修費用総額に占める割合
・教育研修費用を策定する際に最も優先する基準
・教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性
・本社人材開発部門と各事業部門の研修割合の変化
・2023年度に実施した各種教育研修の1人あたりの研修費用額
・2024年度(今年度)の予算で実施する教育研修(階層別教育/職種別・目的別教育)
・2024年度(今年度)特に重点的に取り組む教育研修
・付帯調査 コロナ禍での新人研修とその後のフォロー、社員の自律的・主体的な学びに関する支援、人事・人材開発部門の状況
印刷用PDFのダウンロード
※ 詳細データは「企業と人材」2024年10月号(No.1140)にて掲載しています。
本リリースに関する取材などのお問い合わせ
株式会社産労総合研究所「企業と人材」編集部 担当:片上、原
TEL 03(5860)9795 MAIL edt-e@sanro.co.jp