定期刊行誌「労務事情」を刊行するシンクタンク機関の株式会社産労総合研究所(東京都千代田区、代表平盛之)では、 地震・防災対策と従業員支援等に関する実態調査を行い、その結果を公表いたしました。
調査結果の概要
調査結果ハイライト
東日本大震災における被災事業所・従業員の支援策
回答企業の被災状況(複数回答)をみると,東日本大震災によって,約8割の企業が何らかの被害を受けたと回答している。被害状況の内訳は,以下のとおり。
「事業所等への直接的な被害」43.1%
「取引先等の被災による影響」39.9%
「計画停電等による間接的な被害」27.1%
このような現状の中で震災後に被災事業所・従業員に対して実施した支援策(複数回答)をみる。
高い実施率は以下のとおり。
「救援物資を供給した」57.4%
「社内有志による支援金を募った」46.3%
「災害見舞金を支給した」42.6%などがとなっている
なお、「社内から応援チームを派遣した」企業も26.6%であった。
東日本大震災以前における防災マニュアル・計画等の策定状況
かつて1995年の阪神・淡路大震災を経て,企業における防災マニュアル・計画等を策定・整備する必要性が強く認識されることになった。その後も,新潟県中越地震等を受け、防災マニュアル・計画等の見直し等が進められてきたところである。
回答企業では、東日本大震災以前に防災マニュアル・計画等を策定していた企業は63.3%に上っている。
特に1,000人以上企業では91.4%がすでに策定済みであったが、299人以下企業では52.1%にとどまっている。
防災マニュアル・計画,BCP等
各社が策定した防災マニュアル・計画等に盛り込まれていた項目(複数回答。以下,この項同じ)としては、以下のとおり。
「社内防災委員会等の組織の設置」 86.6%
「防災教育と防災訓練の実施」 86.6%
「非常時の社内連絡・広報体制の確立」 86.6%と割合が高い。
「非常時における従業員の安否確認体制の確立」76.5%
「消火活動体制の確立」64.7%
「非常食・飲料水の社内常備」63.9%
それでは,実際に東日本大震災が発生した際には,どのような項目が機能したのだろうか。
「十分に機能した」項目をみると,以下のとおり。
「社内防災委員会等の組織の設置」35.3%
「非常食・飲料水の社内常備」30.3%など
一方、「見直しが必要」だと考えられる項目としては、以下のとおり。
「非常時における従業員の安否確認体制の確立」31.1%
「防災教育と防災訓練の実施」25.2%
「非常時の社内連絡・広報体制の確立」 22.7%
「従業員の帰宅・避難対策の確立」 22.7%などとなっている
災害特別融資制度の有無
家屋の破損等を被った従業員に対する融資制度については、以下のとおり。
「災害特別融資制度がある」12.8%
「一般の融資制度で対応する」18.1%
災害時の融資に際しては「利息なし」とする企業が19.0%であった。
「企業の社会貢献活動」としての施策
各社の従業員支援策の内容を概観した。同時に,東日本大震災のような大災害に際しては、社会的存在としての企業の役割も問われてくるといえるだろう。
そこで、東日本大震災後に取り組んだ社会貢献活動としての施策の内容を聞いてみた。
回答企業において取組みの多い活動としては以下のとおり。
「被災地への義援(捐)金の拠出」80.3%
「社内での救援募金活動」77.7%
「被災地への救援物資の提供」56.4%
※ 詳細データは「労務事情」2011年の8/1・15号にて掲載しています。