初任給を引き上げた企業は50.6%
20年ぶりに「引き上げた」が「据え置いた」を上回る
初任給額は大学卒(一律)208,826円、高校卒(一律)168,617円
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2019年度 決定初任給調査」を実施しました。本調査は1961(昭和36)年より毎年実施しています。
調査の結果、2019年度の決定初任給(2019年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)で208,826円、高校卒(一律)で168,617円となり、全学歴で対前年比増となった。
「初任給を引き上げた」企業は50.6%で、1998年以来、20年ぶりに「引き上げた」が「据え置いた」を上回った。引き上げた理由で最も多かったのは「人材を確保するため」58.8%だった。
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主なポイント
(1)初任給の引上げ状況
- 2019年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は50.6%(2019年度調査40.8%)、「据え置いた」企業は48.2%(同57.0%)で、20年ぶりに「引き上げた」企業が「据え置いた」企業を上回った。
- 初任給を引き上げた理由(複数回答)は、「人材を確保するため」の58.8%が最多。
(2)初任給額の水準
- 大学卒と高校卒は、一律に初任給を決定している場合と、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合の「最高額」と「最低額」を聞いている。
(付帯調査)新入社員の夏季賞与
- 新入社員に対して「何らかの夏季賞与を支給する」企業は88.1%で、「支給しない」企業は4.8%である。支払方法で最も多いのは「一定額(寸志等)を支給」64.5%。
- 夏季賞与・一時金の平均支給額は、大学卒で87,636円、高校卒で69,064円。
調査要領
全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した3,000社に対して、2019年4月に調査票を郵送で依頼し、336社の回答を得た。
【調査名】 「2019年度 決定初任給調査」
【調査機関】産労総合研究所
【調査対象】当社の会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社
【調査時期】2019年4月~5月
【調査方法】郵送によるアンケート調査方式
【回答状況】締切日までに回答のあった336社について集計。集計企業の内訳は別表を参照
【留意点】 決定初任給とは、本採用後支払われる所定内賃金月額。通勤手当、時間外手当等は除く。
前年比は、回答企業における2018年決定初任給との比較
調査結果概要
(1)初任給の引上げ状況
[1]初任給の改定状況
2019年4月入社者の初任給を引き上げた企業は50.6%と、前年度の40.8%から9.8ポイントもの増加となり、1998年以来、20年ぶりに「引き上げた」が「据え置いた」を上回った。引き上げた企業の内訳をみると、全学歴を対象に引き上げた企業は84.7%、一部学歴を対象に引き上げた企業は13.5%であった。引き下げた企業はなかった。
企業規模別に「引き上げた」企業の割合をみると、1,000人以上企業が69.0%、300~999人企業が49.6%、299人以下企業が39.7%と、1,000人以上企業は299人以下企業の2倍ほどとなっている。
平成30年間の初任給の引上げ状況の推移
[2]初任給改定の理由
初任給を引き上げた理由(複数回答)をみると、最も多かったのが「人材を確保するため」58.8%、次いで「在籍者のベースアップがあったため」47.6%である。「人材を確保するため」は1,000人以上企業と300~999人企業では6割、299人以下企業でも5割強と、採用の早期化や深刻な人手不足が高まるなか、初任給額をアピールポイントとしている企業も多いようである。
据え置いた理由(複数回答)をみると「現在の水準でも十分採用できるため」45.1%が最も多く、次いで「在籍者のベースアップがなかったため」38.9%となっている。
引き上げた理由と据え置いた理由(複数回答)
(2)初任給額の水準
2019年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は208,826円、高校卒は168,617円である。
職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合の「最高額」と「最低額」は、大学卒で「最高額」216,942円、「最低額」193,333円、高校卒で「最高額」179,591円、「最低額」167,794円だった。
2019年度 決定初任給
新入社員の夏季賞与(2019年度 決定初任給付帯調査)
88.1%の企業が何らかの夏季賞与を支給
支給額の平均は大学卒87,636円、高校卒69,064円
【新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況と支給額】
本調査では、付帯調査として新入社員の夏季賞与の支給状況および支給額についても聞いている。4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多い。そのなかで、「何らかの夏季賞与を支給する」企業は88.1%、「支給しない」企業は4.8%となった。
「何らかの夏季賞与を支給する」企業の支給方法をみると、最も多いのは「一定額(寸志等)を支給」の64.5%で、次いで「在籍期間の日割計算で支給」16.2%、「日割以外の一定割合で支給」11.8%などとなっている。
支給額の平均をみると、大学卒87,636円、高校卒69,064円だった。支給額の分布をみると、最も多く分布しているのは大学卒・高校卒ともに「5~10万円未満」(大学卒44.2%、高校卒51.9%)であった。
新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況
夏季賞与・一時金の支給金額(何らかの夏季賞与・一時金を支給する企業)
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※詳細データは「賃金事情」2019年7月5日号に掲載しています。
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株式会社産労総合研究所 「賃金事情」編集部 担当:片上、伊関
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