引上げ企業は40.8%で、前年度より6.2ポイント増
初任給額は大学卒(一律)206,333円、高校卒(一律)167,249円
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2018年度 決定初任給調査」を実施しました。本調査は1961(昭和36)年より毎年実施しています。
調査の結果、2018年度の決定初任給(2018年4月に確定した初任給)の水準は、大学卒(一律)で206,333円、高校卒(一律)で167,249円となり、全学歴で対前年比増となった。
「初任給を引き上げた」企業は、前年度の34.6%から6.2ポイント増の40.8%となり、2008年度の調査以来、10年ぶりに4割を超えた。引き上げた理由で最も回答が多かったのは「人材を確保するため」56.5%だった。なお、引き上げた企業における引上げ額は、大学卒(一律)2,691円、高校卒(一律)2,553円である。
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主なポイント
(1)初任給の引上げ状況
- 2018年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は40.8%(2017年度調査34.6%)、「据え置いた」企業は57.0%(同62.8%)。なお、「引き下げた」企業はなかった。
- 初任給を引き上げた理由(複数回答)は、「人材を確保するため」56.5%、「在籍者のベースアップがあったため」43.5%、「初任給の据置きが長く続いていたため」7.6%。
(2)初任給額の水準
- 2018年度の学歴別の初任給額は右表のとおり。なお、大学卒と高校卒については、一律に初任給を決定している場合に加え、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合は、各企業の「最高額」と「最低額」をたずねた。
(付帯調査)新入社員の夏季賞与
- 新入社員に対して「何らかの夏季賞与を支給する」企業は85.0%、「支給しない」企業は7.5%。
- 新入社員に対する夏季賞与の支払方法で最も多いのは「一定額(寸志等)」64.1%
- 支給額の平均は、大学卒で88,428円、高校卒で69,873円。
調査要領
全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した3,000社に対して、2018年4月に調査票を郵送で依頼し、321社の回答を得た。
【調査名】 「2018年度 決定初任給調査」
【調査機関】産労総合研究所
【調査対象】全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した3,000社
【調査時期】2018年4月~5月
【調査方法】郵送によるアンケート調査方式
【回答状況】締切日までに回答のあった301社について集計。集計企業の内訳は別表を参照
【留意点】 決定初任給とは、本採用後支払われる所定内賃金月額。通勤手当、時間外手当等は除く。
前年比は、回答企業における2017年決定初任給との比較
調査結果概要
(1)初任給の引上げ状況
[1]初任給の改定状況
2018年4月入社者の初任給を引き上げた企業は40.8%と、前年度の34.6%から6.2ポイントもの増加となった。引き上げた企業の内訳をみると、全学歴を対象に引き上げた企業は78.6%、一部学歴を対象に引き上げた企業は16.0%であった。一方、据え置いた企業は57.0%で、引き下げた企業はなかった。
企業規模別に引き上げた企業の割合をみると、1,000人以上企業が62.2%、300~999人企業が32.4%、299人以下企業が32.6%と、1,000人以上企業が300~999人企業、299人以下企業の2倍ほどとなっている。
引き上げた企業の割合は、2008年度調査(44.6%)で4割を超えたあとは1割程度が続き、2014年以降は3割程度まで上昇していたが、今回の調査で10年ぶりに4割を超えた。
図表1 初任給の引き上げ状況
[2]初任給改定の理由
初任給を引き上げた理由(複数回答)をみると、最も多かったのが「人材を確保するため」56.5%、次いで「在籍者のベースアップがあったため」43.5%である。「人材を確保するため」はどの企業規模でも5割超(1,000人以上企業58.9%、300~999人企業54.5%、299人以下企業54.8%)となっており、人手不足が高まるなかで、初任給額が重要なアピールポイントの一つとなっているようである。
据え置いた理由(複数回答)をみると「現在の水準でも十分採用できるため」53.6%が最も多く、次いで「在籍者のベースアップがなかったため」35.0%となっている。
図表2 引き上げた理由と据え置いた理由(複数回答)
(2)初任給額の水準
2018年度の初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は206,333円、高校卒は167,249円である。
本調査では、職種やコース(総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務など)で初任給額に格差を設けている場合は、各企業の「最高額」と「最低額」をたずねている。大学卒の「最高額」は219,751円、「最低額」は191,710円。高校卒では「最高額」177,908円、「最低額」164,781円である。
図表3 2018年度決定初任給
新入社員の夏季賞与(2018年度決定初任給付帯調査)
85.0%の企業が何らかの夏季賞与を支給
支給額は大学卒88,428円、高校卒69,873円
【新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況と支給額】
本調査では、付帯調査として新入社員の夏季賞与の支給状況および支給額についても聞いている。4月入社の新卒入社者の場合、入社年度の夏季賞与の支給日には在籍しているものの、算定期間としてはわずかか、あるいは算定期間を過ぎた後の入社という場合が多い。そのなかで、何らかの形で夏季賞与を「支給する」企業は85.0%、「支給しない」企業は7.5%となった。
「何らかの夏季賞与を支給する」企業の支給方法をみると、最も多いのは「一定額(寸志等)」の64.1%で、「在籍期間の日割計算で支給」15.8%、「日割以外の一定割合で支給」13.2%、「日割+一定割合または一定額」1.8%と続く。
支給額の平均をみると、大学卒88,428円、高校卒69,873円となった。支給額の分布をみると、最も多く分布しているのは大学卒・高校卒ともに「5~10万円未満」(大学卒44.4%、高校卒56.8%)であった。
図表4 新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況
図表5 夏季賞与・一時金の支給金額(夏季賞与・一時金を支給する企業)
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※詳細データは「賃金事情」2018年7月5日号に掲載しています。
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株式会社産労総合研究所 「賃金事情」編集部 担当:片上、伊関
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