在籍者の賃上げ(ベースアッブ)と人手不足感が初任給に反映
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2014年度 決定初任給調査」を実施しました。本調査は1961(昭和36)年より毎年実施しています。
調査の結果、2014年の決定初任給(2014年4月に確定した初任給)を「引き上げた」企業は27.2%と昨年の10.7%から倍増。 約3割がベースアッブを実施したという今春闘結果と人手不足感を背景に、4社に1社が「在籍者のベースアッブがあったため」「人材を確保するため」に初任給を引き上げたことがわかった。初任給額は、一律に決定している企業の場合、大学卒 204,148円、高校卒163,752円だった。
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調査結果のポイント
(1)初任給の引き上げ状況
- 2014年4月入社者の初任給を「引き上げた」企業は27.2%(昨年調査10.7%)、「据え置いた」企業は69.4%(同85.3%)、 「その他等」3.0%(同3.5%)、「無回答」0.4%(同0.4%)。
- 初任給を引き上げた理由は、「在籍者のベースアッブがあったため」(51.6%)、「人材を確保するため」(45.3%)、「初任給の据置が長く続いていたため」(9.4%)。
(2)初任給額の水準
- 2014年学歴別の初任給額は右のとおり。なお、大学卒と高校卒については、一律に初任給を決定している場合と総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のようにコース別に初任給を決めている場合に分けてたずねた。
調査要領
【調査名】 「2014年度 決定初任給調査」
【調査対象】全国1・2部上場企業と過去に本調査に回答のあった当社会員 企業から任意に抽出した3,000社
【調査時期】2014年4月〜5月
【調査方法】郵送によるアンケート方式
【回答状況】締切日までに回答のあった 235 社について集計
【留意点】 決定初任給とは、本採用後支払われる所定内賃金月額。通勤手当、時間外手当等は除く。
前年比は、回答企業における 2013 年決定初任給との比較
調査結果の概要
(1)初任給の引き上げ状況
初任給の決定状況
今回の調査結果では、2014年4月入社者の初任給を引き上げた企業は27.2%(64社)と、昨年の10.7%(24 社)から倍増した。一方、昨年まで5年連続して85%台と高い水準にあった据え置いた企業割合は69.4%(163 社)に減少した(図表1)。
図表1 初任給の引き上げ状況
初任給改定の理由
初任給を引き上げた理由は、「在籍者のベースアッブがあったため」(51.6%)、「人材を確保するため」 (45.3%)、「初任給の据置が長く続いていたため」(9.4%)。一方、据え置いた理由は、「現在の水準でも十分採用できるため」(56.4%)、「在籍者のベースアッブがなかったため」(30.7%)、「新卒採用はしないため」(5.5%) (複数回答)。
図表2 引き上げ理由
(2)初任給額の水準
2014年初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万4,148円、高校卒は16万3,752円である。
総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のようにコース別に初任給を決めている場合、大学卒で基幹職20万 6,883円、補助職18万5,478円。高校卒では基幹職16万7,205円、補助職15万8,523円である。
図表3 2014年度 決定初任給
(注)「対前年増減額」および「対前年増減率」は、2014年回答企業における 2014 年と 2013 年の初任給額を比較したもの。
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※詳細データは「賃金事情」2014年7月5日号に掲載しています。
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株式会社産労総合研究所 「賃金事情」編集部 担当:伊関、黒田、境野
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