民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(代表・平盛之)が発行する定期刊行誌「賃金事情」(編集長・吉田貴子)では、毎年、4月に入社した新卒者の「決定初任給」に関する調査を実施しており、このほど2012年度の調査結果がまとまった。
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調査結果のポイント
(1)初任給を引き上げた企業は1割、据え置いた企業が9割弱
(2)初任給の水準は全学歴で横ばい
(3)新入社員に夏季賞与を支給する企業は87.4%
(4)新入社員への2012年夏季賞与の平均支給額は、大卒9万743円、高卒7万7,235円
調査要領
【調査対象】当社会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社
【調査時期】2012年4月中旬~5月下旬
【回答状況】集計は230社
調査結果の概要
(1)初任給の引上げ状況
引き上げた企業は1割、据え置いた企業が9割弱
今回の調査結果では、2012年4月入社の初任給を引き上げた企業は11.3%(26社)にとどまり、据え置いた企業が85.2%(196社)であった。2009年から4年連続でほぼ同様の傾向となっている(図表1、2)。
初任給を据え置いた理由は、「現在の水準でも十分採用できる」が60.2%で最も多く、「在職者のベアがなかった」が35.7%と続く(図表3)。
図表1 初任給の決定状況
図表2 初任給据置き企業の割合の推移
図表3 初任給を据え置いた理由
(2)初任給水準の推移
初任給水準は横ばい
2012年初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万3,362円、高校卒は16万2,983円である(図表4)。
総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のようにコース別に初任給を決めている場合、大学卒では基幹職20万6,194円、補助職18万5,354円。高校卒では基幹職17万2,373円、補助職16万3,701円である。
いずれの学歴区分でも対前年増減率は1%未満の増加率で、水準はほぼ横ばいであった。本調査における大学卒(一律)の初任給上昇率は1995年以降1%を下回る状況が続いており、2009年以降は0.1~0.2%で推移している。
図表4 2012年決定初任給
(注)「対前年増減額」および「対前年増減率」は、2012年回答企業における2012年と2011年の初任給額を比較したもの。
(3)新入社員に対する夏季賞与
9割弱の企業が新入社員に夏季賞与を支給
今年4月に入社した新入社員に夏季賞与を支給する企業の割合は87.4%で、大多数の企業が何らかの形で賞与を支給している(図表5)。
支給方法としては「一定額(寸志)を支給」が60.2%で最多。次いで「在籍期間の日割計算で支給」17.9%、「日割以外の一定割合で支給」14.9%など(図表6)。
図表5 新入社員に対する夏季賞与の支給状況
図表6 夏季賞与の支給状況および支給方法
(4)夏季賞与の平均支給額
2012年夏季賞与の平均支給額は、大卒9万743円、高卒7万7,235円
夏季賞与の平均支給額は、大学卒で9万743円、高校卒で7万7,235円であった。業種別では、製造業がそれぞれ9万7,245円、8万25円、非製造業が8万6,625円、7万3,723円となっている(図表7)。
回答企業の支給額の分布をみると、大学卒の約81.6%、高校卒の86.9%が15万円未満に分布しており、大学卒、高校卒ともに「5~10万円未満」が4割弱を占めている(図表8)。
図表7 新入社員に対する夏季賞与の平均支給額
(注)支給額について回答があった企業のみ集計した。図表8も同じ。
図表8 夏季賞与支給額の分布
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※ 詳細データは「賃金事情」2012年7月5日号にて掲載しています。
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