定期刊行誌「賃金事情」を刊行するシンクタンク機関の株式会社産労総合研究所(東京都千代田区、代表 平 盛之)では、毎年、春季賃金交渉後の賃金実態を把握し、来期の賃金交渉のための基礎資料とするために、「モデル賃金・モデル年間賃金調査」を行っている。
このほど、その2015年度調査の結果がまとまったので、その概要を紹介する。
調査要領
調査結果ハイライト
賃上げを実施した企業は83.3%
ベア実施率は4割に
調査によると、2015年の賃上げ状況は、「賃上げあり」が83.3%で、そのうち「定昇のみ」43.3%、「ベースアップを実施」は40.0%だった。前年の84.9%と比べると若干賃上げ企業が減少したが、ベアを実施した企業は増加している。具体的な賃上げ額と賃上げ率は、全体平均では5,918円、2.02%で、前回の5,558円、1.95%から360円増加し、6,000円に迫る賃上げとなった。
賃金改定状況の推移(全産業・規模計)
大学卒・総合職(事務・技術系)の35歳で34.8万円
大学卒・総合職(事務・技術系)の今回の調査結果をみると、入社する22歳時の月例賃金は20.5万円。その後35歳で34.8万円となり、以降も賃金は上昇して、ピークは55歳時の53.2万円となる。
モデル賃金の内訳(全産業・規模計)
今後の賃金カーブは査定変動型に変更が4割
賃金カーブとは、縦軸に賃金を、横軸に年齢をとったグラフで表されるカーブであり、この曲線により、在職者の賃金分布や将来の賃金などのおおよその傾向を知ることができるものである。今回の調査では、このカーブのあり方を自社でどう設定しているか、6種の想定タイプのどれに近いかで選んでもらった。
参考図 賃金カーブの各パターンイメージ
結果をみると、現在の賃金カーブは「上昇率逓減型」が34.3%で最も多く、「上昇後フラット型」と「上昇後査定変動型」が20.7%で続く。「上昇後減少型」は14.2%であったが、「早期立ち上げ型」を設定する企業はなかった。また、一律上昇型の企業が10.1%あった。
現在の賃金カーブ
また、この先賃金カーブの変更を考えているか、変更後の賃金カーブはどれに当てはまるかを尋ねたところ、「上昇後査定変動型」が38.3%で最も多く、次いで「上昇後減少型」19.1%、「早期立ち上げ型」「上昇後フラット型」14.9%、「上昇率逓減型」12.8%と続く。現在の賃金カーブでは設定している企業がなかった、「早期立ち上げ型」への移行を考えている企業が少なからず見受けられる結果となっている。
変更後の賃金カーブ
※ 詳細データは「賃金事情」2015年10月20日号、11月5日号にて掲載しています。
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