2019年12月に中国武漢で発生が確認され、世界的な感染拡大が危惧される新型コロナウイルス感染症。国内でも2020年2月1日に指定感染症に指定され、国を挙げての感染拡大防止対策が進められています。今回は、事態を受けた政府等の動きについて紹介します(4月9日現在)。
新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた採用選考活動に関するお願い
日本経済団体連合会は4月6日、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた採用選考活動に関するお願いを会員企業に対して公表した。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う大規模な企業説明会やイベントの中止、延期等の結果、学生の間に就職活動に対する不安が高まっている。そのようななか、学生が安心して就職活動に取り組めるよう、各社が下記に留意しながら、採用選考活動を行うとともに、こうした取組みを積極的に情報発信するように呼びかけている。
1 .学生の不安を和らげ、幅広い情報と十分な採用機会を提供する観点から、現行の採用選考日程を基本としつつ弾力的な採用選考活動を実施する。
2 .具体的には、Web 説明会など多様な通信手段を活用した企業説明の機会の創出、エントリーシートの提出期限の延長、オンライン面接の推進、年間を通じた複数回の選考機会の確保などに向けて最大限
努力する。
3 .感染収束以降の採用関連イベントの追加開催等、学業を尊重しつつ各社の状況に応じて最大限柔軟な対応を行う。
▶▶http://www.keidanren.or.jp/announce/2020/0406.html
就職・採用活動及び内定者への配慮について関係団体に要請
内閣官房、文部科学省、厚生労働省、経済産業省は連名で、3月13日、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・修了予定等の内定者への特段の配慮を行うよう、関係団体に要請した。
①2020年度卒業・修了予定者等について
・企業説明会について、現時点で全国一律の自粛要請を行うものではないが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討すること。
・採用・選考活動について、学生が企業を理解する十分な機会を確保し、雇用のミスマッチを防止するため、令和2年6月1日以降の開始を遵守すること。
・採用選考日程を後倒しにするなど柔軟な日程の設定や秋採用・通年採用などによる一層の募集機会の提供を行うとともに、その旨を積極的に情報発信すること。等
②2019年度卒業・修了予定者について
・内定取消し防止のためあらゆる手段を講じること。
・やむを得ない事情により採用内定の取消し又は採用時期の延期を行う場合には就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、補償等の要求には誠意を持って対応すること。
▶▶https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200313006/20200313006.html
新型コロナウイルス対策に関する諸外国の動向
労働政策研究・研修機構は4月6日、雇用に関する施策を中心に、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカにおける緊急対策を俯瞰するための一覧表を取りまとめ公表した。
一覧表では、各国の事業継続支援策・融資策(全企業・中小企業・個人事業主含む)、雇用維持政策(雇用主・従業員)、税制優遇(減税・免税)、自営業者・フリーランス支援、生活困難者支援について、動向を取りまとめている。以下、各国の雇用維持政策の動向を抜粋する。
●イギリス
コロナウイルス雇用維持スキームを新設、雇用主に一時帰休状態にある従業員の賃金支払いを補助(最大で賃金の80%、月2500ポンドまで)。併せて、社会保険料の雇用主負担分を免除(政府が負担)。当座、3月1日以降3カ月間が対象だが、必要に応じて延長の可能性あり。なお、2月28日までに解雇した労働者を再雇用のうえ一時帰休とした場合にも適用。
●ドイツ
操業短縮手当の要件緩和、3月1日の操短分から遡及支給。2020年末までの時限措置。
・対象が全労働力の10%に達した時点で申請可(従来は全労働力の3分の1)
・派遣労働者にも適用拡大
・操業短縮中に雇用主が単独で支払わなければならない社会保険料を連邦雇用エージェンシー(BA)が全額負担
●フランス
部分的失業制度の申請手続きの簡素化および強化による企業の雇用維持を支援。部分的失業の適用対象期間を満了した企業に対しては、全国雇用基金(FNE)による職業訓練制度を活用することが可能。
●アメリカ
失業保険制度の強化として週600ドルの追加給付、給付期間を13週延長。従来適用対象でない自営業者やギグワーカーも暫定的に給付の適用拡大が可能に(州により対応が異なる可能性あり)。
▶▶https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/index.html
—【各種要請】—
派遣労働者の雇用維持等に対する配慮についての要請
厚生労働省は3月27日、日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOA に対し、新型コロナウイルス感染症にかかわる派遣労働者の雇用維持等に対する配慮について要請した。
▶▶https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199493_00005.html
有期契約労働者及び新卒の内定者等の雇用維持等に対する配慮についての要請
厚生労働省は3月27日、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会に対し、新型コロナウイルス感染症にかかわる有期契約労働者、パートタイム労働者及び派遣労働者並びに新卒の内定者等の雇用維持等に対する配慮について要請した。
▶▶https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10497.html
大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について労使団体に要請
厚生労働省は3月28日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が発表されたことや昨今の状況を踏まえ、日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、日本労働組合総連合会に対し、新型コロナウイルス感染症の大規模な感染の拡大防止に向けた職場における対応について要請した。
▶▶https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10631.html
—【相談窓口】—
全国労働組合総連合は3月18日、新型コロナウイルスに関する労働相談のページをHP 上に掲載した。労働相談Q&A のほか、労働相談ホットラインを設けている。フリーダイヤルは以下の通り。
TEL:0120-378-060