インタビュー
「雑誌 × web」クロスインタビュー
Interview 6
〜株式会社HCプロデュース シニアビジネスプロデューサー 吉田 寿〜
〜株式会社プロテリアル 常務執行役員兼 CHRO 人事総本部長 中島 豊〜
- Episode 1 「40年前、まさかこういう日が来るとは思いませんでしたね」。
- Episode 2 自身のキャリアを見定めるきっかけや出会い
- Episode 3 「これまでを1回捨てようよ」「その仕事を止めていいよ」
- Episode 4 偶然とチャンスと信念と
- Episode 5 日に新たに、日々新たに、また日に新たなり
- Episode 6 それぞれの道で目指す、幸福への道程
Episode5
日に新たに、日々新たに、また日に新たなり
編集部
ところで中島さんが現職のプロテリアルに移られたのは、それこそ何か「偶然」のご縁のようなものがあったのですか。
中島氏
これといった縁はないんです。60歳を迎え、以前の会社では定年が63歳だったため、もう少し違う内容で長く挑戦できる仕事はないかと転職を考えていたときに出会いました。
日本の会社とアメリカの会社の両方をよく理解していること、新しい社長がアメリカ人なので、英語でコミュニケートできること、といった要件がそろっていたので選ばれたといったところですね。
実は採用選考にあたり職務経歴書の提出を求められたので、すごくシンプルにして提出したら、「他にも候補者がいるので詳細を」と言われたんですよ。そんなに書くことはないだろうと思って書き出したら、A4用紙9枚になってしまいました(笑)。
吉田氏
中島さんの経歴を時系列的に書いていったら、そのボリュームになっちゃいますよね。
僕もHCプロデュースの入社時に改めて職務経歴書を求められたときは、一から詳細なものを3日間かけてじっくり作りましたよ。でも9枚はいかなかったですね(笑)
中島氏
私の場合は英語で作ったので、表現がまどろっこしい部分もあってボリュームが増えたところもありますから(笑)。
吉田氏
たしかに、英語だと文字量が増えますね。でも、たまに職務経歴書をつくると、キャリアの棚卸のいい機会になりますよね。
中島氏
そうですね。書きながら、「このときはこの栗を拾ったな」みたいに思い出します(笑)。「思えば遠くへ来たもんだ」と口ずさんだり(笑)。この作業って、キャリアの上で大切なことだと思いますね。MBAに行くときにも思いましたが、今回も、改めてそう実感しました。
「40年間ずっと新しいものを追いかけてきた、という感じがあります」
編集部
実際、キャリアの棚卸をされて、お二人はこれまでのご自身のキャリアについてどのように感じられましたか。
吉田氏
中島さんは時流に乗って首尾一貫したキャリアを歩んできた印象がありますが、僕はそれこそ「Planned Happenstance」なところがあるかな(笑)。
中島氏
吉田さんと私に共通しているのは「日々是新」というところだと思います。これは私の座右の銘でもあるのですが、常に「新しい」を認識しているんだと思っています。
吉田さんはおそらく、さまざまなクライアントと仕事をする中で、その都度新しいことをされていて、私は、自分の仕事の中で新しいものを常に探している。40年間ずっと新しいものを追いかけてきた、という感じはありますね。
吉田氏
確かに新しいものを追いかけてきましたね。後輩にも、「トレンドの追っかけじゃないとプロのコンサルタントは続かないよ」ってよく言っているんです。
ミーハーでいいんです。何か面白いことが起きたらすぐに飛びついて勉強してみるとか、知的好奇心も含めて、そういった行動力がないとやっていけない職業だと思います。
中島氏
そこはそうでしょうね。だから「日々是新」を実践している吉田さんは、人事コンサルタントのロールモデルなんですよ。「また新しいことをやっているな」と思いますから。
アンテナを広げて新しいことをキャッチして、「お、今度は『幸福』にいったな」と(笑)。
吉田氏
そう、「幸福」です。僕もキャリアを積み上げ、人生後半に差し掛かってきているので、やはりこれからの世界平和のため(?)には「幸せ」について考えなきゃいけないなって思うわけですよ(笑)。
中島氏
吉田さんはそういう、「お!」と思うところを見ているんですよね。だから私も、吉田さんがなぜそっちにアンテナを広げたのかを調べて、そうすると「あ、なるほど、そういうことか」とわかりますから、それを実務に落とし込んでいるんです。ありがたく使わせてもらっていますよ(笑)。
吉田氏
どうぞ使ってください(笑)。
僕はエンゲージメントの先には幸福論があると思っているんです。すでにもう幸福論を語っている人はたくさんいて、僕なんかはその人たちの後塵を拝しているのが実情です。でも、その領域にいったん足を踏み入れれば、「ああ、こんなにも研究成果がたくさんあるのか」と思ったりするのですが、いろいろなことに早くキャッチアップして自分なりのオリジナリティを出していこうと、鋭意取り組んでいる真っ最中なんです。