2022年度(令和4年度)新入社員のタイプ
「新感覚の二刀流タイプ」
2022.03.28 発表
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2022年度(令和4年度)新入 社員のタイプ」を発表しました。これは、企業の人事担当者、大学のキャリアセンター担当者等から成る「新社会人の採用・育成研究会」が、当所調査の「2022年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」(調査結果 は当所定期刊行誌『人事実務』5月号に掲載予定)、採用・就職支援活動等を踏まえて、今年の新入 社員の特徴と育成のヒントをまとめたものです。
昨年のタイプ(仲間が恋しい ソロキャンプタイプ)については、こちらをご参照ください。
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新入社員のタイプ
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、大学・後半期にさまざまな活動制限を受けた今年の新入社員。インターンシップや就職活動を、対面とオンラインの2つのスタイルで二刀流のよ うにこなして、入社式を迎えた。しかし、就活中に職場の雰囲気や仕事に関する情報が得にくかったこともあり、入社後は、思い描いていたイメージと実際とのギャップにとまどいそうだ。先輩社員は、これまでの新入社員とは異なる新感覚(オンライン慣れ、対面コミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、SDGsへの興味、タイムパフォーマンス志向等)や未熟にみえる言動を受け止めたうえで温かく交流し、1人ひとりをみつめた育成支援をしてほしい。そうすれば、才能が開花し、環境変化にも適応できる「リアル二刀流」になっていくだろう。
【2022年度新入社員の就職活動の特徴と今後の育成のヒント】
◆いまだ収束していない新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が始まったのは2020年2月頃。この春、大学を卒業した新入社員たちは、大学3年生になろうとしているときだった。このときから、感染拡大防止のため、大学の活動が制限された。授業やインターンシップがオンラインで行われるようになった。
◆就職活動においても、就職ガイダンス、会社説明会、採用試験、採用面接、内定式等、志望先に合わせて、オンラインと対面の両方のスタイルを二刀流のようにこなして対応した。
しかし、オンラインでのコミュニケーションには限界がある。学生は、職場の雰囲気や社風、仕事のイメージを知りたいが、そのための情報が十分ではなかった。採用側は、人柄や志望本気度の把握が難しかった。お互いに大事にしたいことについてかすかな不安を残しつつ、内定に至った。それは、内定辞退の増加要因の1つとなった。
◆就職内定状況の数値をみると、89.7% (厚生労働省、2022年2月1日現在)となっており、昨年同様、過去と比べるとそれほど悪い数値ではないが、内実は、苦・楽両方の面があったようだ。
「楽」というのは、オンラインでの就職活動により、時間効率がよく、コストもかからない就活を行えたということである。1日に数社、各地の企業を掛け持ちできた。授業の合間に面接をこなすことも可能だった。説明会から面接、内定まですべてオンラインというケースも多くあったようだが、「オンラインだけで内定までもらっていいのか?」という疑問も学生の中に生まれたようだ。
「苦」というのは、先輩や同級生、先生、キャリアセンター相談員と対面で会う機会が少なかったため、就活の状況がわからなかったことである。同級生と情報交換したり、助け合ったりすることもあまりできなかった。
そうしたこともあり、ITツール等を駆使して主体的に就活に取り組んだ学生と、消極的で準備が遅れ、うまく実力を発揮できない学生との二極化が、より顕著になった。
◆入社後は、「イメージしていた仕事や社風、社会人像とは違った!」というギャップを感じることが例年に増して多くなる可能性がある。ギャップをおもしろいと感じてくれればよいが、組織やビジネス社会にうまくなじめないと、不満や悩みを持つかもしれない。
先輩社員たちは、経験不足・情報不足のため未熟にみえる部分や従来とは異なる言動・考え方(オンライン慣れ、リアルコミュニケーションの不慣れ、配属・勤務地へのこだわり、社会貢献への関心の高さ、タイムパフォーマンス志向等)を「新感覚」と捉え、温かく見守ってほしい。新型コロナウイルス感染拡大防止のために活動を制限された(自粛した)結果でもある。まずは受け止めて(認めて)支援いただきたい。
一人ひとりの可能性を見極めて、モチベーションをあげる教育、配属、赴任地を提供できれば、「リアル二刀流」さらに、これまでにない「シン・二刀流」として、新たな才能を開花する可能性は高い。受け入れ側も、教育・働き方・コミュニケーション等のあり方について、彼らの「新感覚」に学ぶこともあるだろう。
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株式会社産労総合研究所 「新社会人の採用・育成研究会」事務局 担当:白ヶ澤、片上、酒井、片岡、重山
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