2023年度(令和5年度)新入社員のタイプ
「可能性は∞(無限大)AIチャットボットタイプ」
2023.03.27 発表
人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2023年度(令和5年度)新入社員のタイプ」を発表しました。これは、企業の人事担当者、大学のキャリアセンター担当者等から成る「新社会人の採用・育成研究会」が、当所調査の「2023年3月卒業予定者の採用・就職に関するアンケート」(調査結果は当所定期刊行誌『人事の地図』6月号に掲載予定)や採用・就職支援活動等を踏まえて、今年の新入社員の特徴と育成のヒントをまとめたものです。
昨年のタイプ(新感覚の二刀流タイプ)については、こちらをご参照ください。
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新入社員のタイプ
新型コロナウイルス感染症の猛威のなか、大学生活のほとんどをオンラインのカリキュラムで過ごした今年の新入社員。インターンシップや就職活動もオンラインでの選考がごく自然に盛り込まれ、むしろ対面での機会を増やそうという流れの中で入社を迎えた彼らは、対面でのコミュニケーション不足から、こちらに特別意図のない発言やしぐさでも、ストレスに感じてしまうことがある。一方で、知らないことがあればその場でごく自然に検索を始めるデジタルネイティブ世代である彼らは、さまざまなツールを扱い答えを導き出すことにかけては、すでに高いスキルをもっている。
先輩社員は、彼らの未熟な面や不安をこれまで以上に汲み取りながらコミュニケーションを取ってほしい。AIチャットボットが適切なデータを取得することで進化していくように、彼らは適切なアドバイスを受けることで、想定を超える成果を発揮する可能性に満ちている。
【2023年度新入社員の就職活動の特徴と今後の育成のヒント】
◆新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大開始から数年。この春、大学を卒業した新入社員たちは、1年生時はキャンパスで対面の授業やサークル活動をしていたものの、以降はほぼオンラインで授業が行われるようになった世代だ。インターンシップもオンラインだった者が少なくない。
◆就職活動においては採用側、学生側ともにオンラインを併用しての選考が定着しつつあり、オンラインでのやり取りについては互いに慣れてきた感がある。むしろメリット・デメリットが見えてきたことで、面接(特に最終面接)においては、対面で行う機会を増やすようにと考える企業も多かった。
一方、学生側では対面でのコミュニケーションに不安を感じる者が増えた。ノックの仕方やお辞儀の仕方などを気にする者が増え、「オンラインのほうが緊張しない」という学生も少なくない。「コロナ禍でガクチカ(学生時代に力を入れたこと)として話す内容がない」という悩みも話題になった。また、早期に成長したい、副業や福利厚生、テレワークといった制度などへの関心が高いようだ。
◆就職内定状況の数値をみると、90.9% (厚生労働省、2023年2月1日現在)となっており、前年同期をやや上回る数値だ。当所調査で企業に尋ねた内定歩溜まり率(選考参加者数に占める内定者数の割合、内定承諾者数÷選考対象者数)の状況でも「想定通り」が過半数となり、例年から取り立てて大きな変化はないようだが、内実をみると、活発に動き早期に内定を得る学生と、何をしていいかわからず、動き出しが遅くなる学生の二極化がさらに進んでいる様子もうかがえる。
◆入社後は、「イメージしていた仕事や社風、社会人像とは違った!」というギャップに加え、対面での、特に目上や距離の遠い相手とのコミュニケーションの経験不足から、「先輩の当たりがキツい」と感じてしまうことが、例年に増して多くなる可能性がある。コミュニティにおける立ち位置の認識や発言の受け止め方に、双方ともにギャップがあることを自覚し、受け入れ側が意識的に導いていかないと組織やビジネス社会にうまくなじめないかもしれない。そのため、先輩社員たちは、これまで以上に経験不足・情報不足の部分を汲み取った接し方に注力してほしい。
一方で予想だにしない発想やスキルを保持している可能性も十分にある世代と言えるだろう。彼らの可能性を広げるためにも、受け入れ側が意図を明確にし、何を求めているかを彼らに伝えることが大切だ。
「これぐらいはできるだろう、わかるだろう」と思考停止せず、一人ひとりの可能性を見極めて、モチベーションをあげる教育、配属、赴任地を提供できれば、的確なデータを入力することで成果を発揮する「AIチャットボット」のように、受け入れ側が予想しなかったような成果を発揮するだろう。
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