民間のシンクタンク機関である産労総合研究所(代表・平盛之)が発行する定期刊行誌「賃金事情」(編集長・吉田貴子)では、1961年(昭和36年)以降、毎年、4月に入社した新卒者の「決定初任給調査」を実施してまいりました。このほど、2013年度の初任給決定動向の調査結果がまとまりましたので、ご報告いたします。
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調査結果のポイント
(1)初任給を引き上げた企業は1割、据え置いた企業が9割弱
(2)初任給の水準は全学歴で横ばい
(3)新入社員に夏季賞与を支給する企業は88.8%
(4)新入社員への2013年夏季賞与の平均支給額は、大卒8万1,260円、高卒6万7,724円
調査要領
【調査対象】当社会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社
【調査時期】2013年4~5月
【調査方法】郵送によるアンケート方式
【集計方法】回答は227社。うち集計は224社。
調査結果の概要
(1)初任給の引上げ状況
引き上げた企業は1割、据え置いた企業が9割弱
今回の調査結果では、2013年4月入社の初任給を引き上げた企業は10.7%(24社)にとどまり、据え置いた企業が85.3%(191社)であった。2009年から5年連続でほぼ同様の傾向となっている(図表1、2)。
初任給を据え置いた理由は、「現在の水準でも十分採用できる」が55.5%で最も多く、「在職者のベアがなかった」が39.3%と続く(複数回答, 図表3)。
図表1 初任給の決定状況
図表2 初任給据置き企業の割合の推移
図表3 初任給を据え置いた理由(据置き企業=100, 複数回答)
(2)初任給水準の推移
初任給水準は横ばい
2013年初任給額をみると、職種やコースによる格差がなく、一律に初任給を決定している企業の場合、大学卒は20万2,469円、高校卒は16万3,212円である(図表4)。
総合職と一般職、広域勤務と地域限定勤務のようにコース別に初任給を決めている場合、大学卒では基幹職20万2,990円、補助職18万573円。高校卒では基幹職16万5,927円、補助職15万6,356円である。
いずれの学歴区分でも対前年増減率は1%未満の増加率で、全体的な水準としてはほぼ横ばいであった。ただし、中堅、中小企業では、学歴区分によっては増加率が高くなっているところもある。
図表4 2013年決定初任給
(注)「対前年増減額」および「対前年増減率」は、2013年回答企業における2013年と2012年の初任給額を比較したもの。
(3)新入社員に対する夏季賞与
9割弱の企業が新入社員に夏季賞与を支給
今年4月に入社した新入社員に夏季賞与を支給する企業の割合は88.8%で、大多数の企業が何らかの形で賞与を支給している(図表5)。
支給方法としては「一定額(寸志)を支給」が62.6%で最多。次いで「在籍期間の日割計算で支給」18.7%、「日割以外の一定割合で支給」8.6%など(図表6)。
図表5 新入社員に対する夏季賞与の支給状況
図表6 夏季賞与の支給状況および支給方法
(4)夏季賞与の平均支給額
2013年夏季賞与の平均支給額は、大卒8万1,260円、高卒6万7,724円
夏季賞与の平均支給額は、大学卒で8万1,260円、高校卒で6万7,724円であった。業種別では、製造業がそれぞれ8万3,526円、7万915円、非製造業が7万9,483円、6万4,326円となっている(図表7)。
回答企業の支給額の分布をみると、大学卒の約92.4%、高校卒の93.7%が15万円未満に分布しており、大学卒、高校卒ともに「5~10万円未満」が約5割を占めている(図表8)。
図表7 新入社員に対する夏季賞与の平均支給額
(注)支給額について回答があった企業のみ集計した。図表8も同じ。
図表8 夏季賞与支給額の分布
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※ 詳細データは「賃金事情」2013年7月5日号にて掲載しています。
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